米VMwareは2006年6月12日にサーバー用途の仮想化ソフトウエア「VMware Infrastructure 3」(VI3)を発表した。来日したプロダクト・マーケティング・ディレクタのBogomil Balkansky氏に同社の製品構成,戦略,技術について聞いた。

(聞き手は畑 陽一郎=日経Linux,山口 哲弘=ITpro


米VMwareプロダクト・マーケティング・ディレクタ
Bogomil Balkansky氏

サーバー用途の仮想化ソフトウエア「VMware GSX Server」の製品としての提供を中止し,無償の「VMware Server」を公開した。サーバー製品を無償提供した理由は何か。

Balkansky氏:VMware ServerはVMware GSX Serverのブランドを再定義したもの,次世代の製品,後継製品である。無償版としたことには理由がある。新規顧客に仮想化ソフトウエアの利点を知ってもらうことだ。仮想化ソフトウエアのメリットは使ってみないと分からない。試用した顧客の約半分が製品を購入している。2006年2月6日にVMware Serverのベータ版を公開後,4カ月で50万本がダウンロードされた。

後継製品だということは,製品の開発を続けるということか。

Balkansky氏:無償版といえどもバージョンアップは続ける。1.0版が公開された後も後継製品の開発を続ける。我々は無償版を試用のためだけの「おもちゃ」だとは考えていない。あくまでも実環境で利用できる無償の製品なのだ。実環境で利用する場合の有償の技術サポートを用意し,顧客の要望にも応える。管理ソフトウエアについても有償で提供する。

VMware Serverの開発体制はどのようになっているか。

Balkansky氏:当社には仮想化ソフトウエアの製品系列が2つある。1つがVMware Server,デスクトップ用途のVMware Player,デスクトップ用途であり有償のVMware Workstationだ。もう1つが,大規模なサーバー用途に向くVMware ESX ServerやVI3である。開発チームも2つに分かれる。

 VMware Serverや同Playerの仮想化技術は同じものだ。いずれも物理マシンにLinuxやWindowsをインストールし,その上で動作する仮想化ソフトウエアだ。このため,開発チームを「Hosted」と呼んでいる。

 一方,VI3などはマシン上で直接動作するため,オーバヘッドが少ない。無償の製品が存在しないため,顧客の要望を集める方法がVMware Playerなどとは異なる。VI3は,2006年6月に発表した製品だが,製品化に先立ち半年間に6000人のパブリック・ベータ・ユーザーの意見も取り込んでいる。ホストOSが不要なVMware ESX Serverでは,例えば米Prudential Financialのイギリスに所在する部門から新しい仮想化ソフトが備えるべき機能について意見をいただいた。この例では,データ・センターでデスクトップをホストするという要望が上がってきた。