JANOG18当日朝のスタッフ全員によるブリーフィングの様子です。すべての準備状況をここで確認し,本番に挑みます。
JANOG18当日朝のスタッフ全員によるブリーフィングの様子です。すべての準備状況をここで確認し,本番に挑みます。
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JANOG18のミーティングの様子です。
JANOG18のミーティングの様子です。
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ミーティングの休憩時間は,ロビーで歓談の時間がとられます。ミーティング中の議論がそのままロビーで引き続き議論されるなど,時間場所を問わず議論が活発な2日間となりました。
ミーティングの休憩時間は,ロビーで歓談の時間がとられます。ミーティング中の議論がそのままロビーで引き続き議論されるなど,時間場所を問わず議論が活発な2日間となりました。
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懇親会の様子です。懇親会で,ミーティングで終わらなかった議論,新たな問題点などを参加者同士がざっくばらんに意見交換します。今回はスタッフの自作によるミーティング準備や会場の様子を紹介する映像が投影されていました。
懇親会の様子です。懇親会で,ミーティングで終わらなかった議論,新たな問題点などを参加者同士がざっくばらんに意見交換します。今回はスタッフの自作によるミーティング準備や会場の様子を紹介する映像が投影されていました。
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 今回は,7月13日~14日に開催されたJANOG18 Meetingについてお話したいと思います。JANOG18 Meetingは,文字通りJANOGの18回目の全体ミーティングのことです。思えば18回目のミーティングで,JANOGも9年目を迎えることになりました。

5カ月で3000通以上のメールが飛び交う

 以前の記事でもお話しましたが,JANOGというのは完全にボランティアで運営されています。私を含むJANOG運営委員はもとより,JANOG Meetingのスタッフも全員,「JANOG Meetingを成功させたい」と望む有志で構成されています。

 このためスタッフの皆さんは,忙しい本業のなか,夜・夜中を問わず活発な議論をしながらミーティングの調整をしてくれています。スタッフの皆さんのパワーにはいつも感心させられます。

 ミーティングの基本的な調整はほとんどがメールで行われるため,ミーティングごとにメーリング・リストが作られ,そこで調整が進んでいきます。1回のミーティングの調整は,前の回のミーティングが終わってから1カ月後くらいからはじまります。ですので,だいたい5カ月間かけて調整することになります。

 この期間でメーリングリストには,じつに3000通以上のメールがやり取りされるのです。5カ月間は大体150日間ですから,平均しても1日20通以上メールがやり取りされているわけです。ミーティングが近くなれば,調整も大詰めになるので,3日もメールを読まなければ100通以上のメールがたまってしまいます。

プログラムの内容を高める「プロデューサーPC制度」

 なぜ,毎回このような活発な議論が起こるのか少し考えてみました。理由は二つあると思うのです。一つには,スタッフに応募してくださる皆さんが,ネットワーク運用という場面で何かしらの問題を抱え,それを解決する糸口を見つけたいと思っていること。二つ目には,こういう活動を通して業界全体を盛り立てたいと思っていることです。JANOGスタッフはこれらのニーズを少なからず満たしてくれるグループなのだと思います。

 こうしたグループであることが際立って象徴されたのが,今回のJANOG18 Meetingでした。

 JANOG Meetingの運営では,毎回,小さいながらも新しいことに挑戦しようと考えています。その中には,今まで慣例的に行われてきたことをやめるということもあれば,新しいことを始めるというものもあります。今回もいくつかあったわけですが,その際立ったのが「プロデューサーPC制度」です。

 私は一応会長と言う立場ですが,ミーティングの運営自体は「SC」といわれるミーティング実行委員長グループが担当します。実行委員長はプログラム委員やローカルアレンジメント委員などと相談して,会全体の方針を決めます。こうして,ミーティングが走り出します。このなかで,プログラム委員長が打ち出した方針が「プロデューサーPC制度」でした。

 ミーティング実行委員会のメンバーの中では,少し前から相談されていたようですが,私が知ったのは第一回目のスタッフ・ミーティングでした。プログラム委員長は,パワーポイントを使って丹念に今回のプロデューサーPC制度について説明してくれました。プロデューサーPC制度とは,発表者がプログラム委員となってプログラムそのものを精査し,内容の濃いプログラムにしていくための制度です。

インターネットの運用に新たな可能性を見出す

 プロデューサーPC制度の下,プログラム募集,そしてプログラム委員ミーティングを実施しました。可能な限り私も参加しましたが,毎回夜遅くまで,プログラムの中身まで突っ込んで議論していました。

 さらにプログラム委員となった発表者の方々は,スタッフ・ミーティングだけでなく,個別に何度もミーティングをしていました。一つのプログラムの事前資料が出てくれば,それについて「どのような構成でプレゼンテーションを組み立てるのか?」「データはどれだけ出るのか?」「このような視点で,もう一工夫加えてみてはどうか?」などなど,改良のためのポイントは挙げていくと切がありません。

 議論も場所を選びませんでした。スタッフ・ミーティングの後には,だいたいスタッフの皆さんとお食事に行くわけですが,そこでも議論が止まりません。食事中の議論の中から新たに生まれてくるポイントもあります。

 その結果は,非常に多くの皆さんに出席していただいたおかげで,たくさん議論ができたのではないかと思っています。ただ,これだけ多くの議論があると,そこだけで終わることが無く,すでに次のミーティングにつながる議論がいくつかの場所で始まっています。

 おそらく,このような議論がインターネットの運用に新しい可能性を見出して行くのだと思います。

 次のミーティングは沖縄とちょっと遠いですが,スタッフとして参加し,ちょっと広い視野でインターネットというものを見る環境に参加してみてはいかがでしょうか?

■近藤 邦昭(こんどう くにあき)

日本ネットワーク・オペレーターズ・グループ(JANOG)の会長。1970年北海道生まれ。神奈川工科大学・情報工学科修了。1992年に某ソフトハウスに入社。主に通信系ソフトウエアの設計・開発に従事。1995年,株式会社ドリーム・トレイン・インターネットに入社し,バックボーン・ネットワークの設計を行う。1997年,株式会社インターネットイニシアティブに入社,BGP4の監視・運用ツールの作成,新規プロトコル開発を行う。2002年,株式会社インテック・ネットコアに入社。2006年には独立,現在に至る。