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開発プロセス

上流工程-RFP/提案

日経SYSTEMS

RFP作成術【後編】

評価しやすいプロセスを作る

2006/10/02
尾崎 憲和=日経SYSTEMS
出典:日経システム構築 2005年6月号  33ページより
(記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)

どんな精巧なRFPを作ったつもりでも完ぺきではない。選ぶまでのベンダーとのやり取りの中で,RFPの不足を補う必要がある。また,最終的に納得のいく形でベンダーを選ぶために,比較する方法にもコツがある。

 作ったRFPをベースにベンダーを選ぶプロセスを見ていこう。図10は,アキュラホームが月次決算処理合理化の案件で実際にベンダーを選定したプロセスである。これが典型的な例で,「RFP配布,説明会」→「提案書受け取り」→「プレゼンテーション」→「ベンダー決定」と進む。このケースでは1カ月かけているが,一般的にも1〜2カ月は見ておく。

 ケースによっては,RFP配布の前に「RFIの発行による情報収集」を入れたり,ベンダー決定のために「2次選定」を実施したりすることもある。提案書受け取りとプレゼンテーションが同時ということもある。

 どんな精巧なRFPを作ったつもりでも完ぺきではない。選ぶまでのベンダーとのやり取りの中で,RFPの不足を補う必要がある。また,最終的に納得のいく形でベンダーを選ぶために,比較する方法にもコツがある。以下,プロセスに沿って,ベンダー選びのコツを見ていこう。

図10●RFP発行からベンダー選定まで
図10●RFP発行からベンダー選定まで
アキュラホームが実施したベンダー選定のプロセス。一連のプロセスには通常,1〜2カ月かかる。必要に応じてさらにRFIを発行したり,2次選定を実施したりする

ベンダーの力量を見抜く方法は? 変わらないものをよく見る

 「RFPを5社に発行し,提案を募った」(アキュラホーム 総務部 総務課 マネジャー吉澤篤人氏)。RFPを発行する相手は3〜7社くらいが妥当だ。これより少ないと緊張感を持ったコンペにならないし,逆に多いと事務作業や比較の手間がかさむ。過去に取引のあったベンダーやそのセミナーへの参加経験があるベンダー,IT専門誌で評価の高いベンダーなどを候補に挙げ,そこからピックアップする。「普段からベンダー主催のセミナーなどに参加していると,得意分野などが分かるので役に立つ」(京進 清水氏)。

 候補を絞り込めなかったり,実現可能性が分からなかったりするなら,事前にRFIを発行して情報を集めるのも一つの方法だ。RFIは10社程度に発行することが多いようだ。RFIでは,製品の価格や機能の有無,同じ分野での開発実績などを問い合わせる。JALUXは9社にRFIを発行し,そこから4社を選びRFPを発行した。

 ただし,RFIのプロセスを経ると時間が余計にかかる。JALUXの場合,RFI発行が2004年3月,RFP発行が同7月。この間,4カ月を費やしている。同社の場合はベンダー選定までそこからさらに4カ月かけているので,RFIの発行は時間に余裕のあるプロジェクトに限られるだろう。

金額や機能,担当SEは変わり得る

 ベンダーの力量は提案書を見るまで分からない,というのは間違いだ。むしろ提案内容から判断しようとすると,安かろうの提案や,プレゼンテーションのみがうまいベンダーを選んでしまうリスクが大きくなる。

 それを避けるために,ビーコンITの木村氏は「変わるものより,変わらないものを重視して選ぶべきだ」と助言する(図11)。

 変わるものとは,主に目前の案件に関連する部分。例えば,提案書に記載された見積もり金額や実装する機能,担当SEなどである。逆に,変わらないものとは,ベンダーの体制や社風など。提案書を受け取る前から,その評価は始められる。

 八十二銀行の執行役員 システム部長 普世芳孝氏は「ベンダーを評価するポイントは,要求を満たし得る能力や技術を持っていること,サービスを安定的に提供できる経営,組織,体制になっていること,品質を管理し向上するための方法が確立されていること,などパートナーとして協力関係を築けるかどうかが最も重要」と言う。

 印刷が途中で切れているなどドキュメントとしての体裁が保たれていない提案書を出してくるベンダーは,設計書や議事録など今後作成するドキュメントでも,同じようなレベルのものを出してくる可能性がある。RFPの説明会やプレゼンテーションに遅刻してくるようなら,プロジェクト開始後の週次/月次のミーティングでも時間厳守の意識に甘いと見ていい。その他,レスポンスの早さ,質問に対して正対した回答を出してくるかといった誠実さなども評価の対象になる。

 「ドキュメントの作り方が標準化されている,人的なバックアップ体制が確立されている,など組織的な対応がなされているベンダーは,仕事の進め方やドキュメントの作り方もしっかりしている」(ビーコンIT 木村氏)。このハードルを越えられないベンダーは,どんなに価格の安い提案,魅力的な提案を持ってきたとしても,長続きする関係を期待しにくい。

 これらを「最低ライン評価」として,クリアしたベンダーについてだけ,提案書を評価すればいい。

 RFPで予算を提示しておらず,最低ライン評価をクリアしたベンダーの提案がいずれも高額なら,機能を削るなどした上で再提案を求めたり,価格交渉を実施したりする。このような形で,2次選定を実施するユーザーも多い。

図11●ビーコンITが推奨する「ベンダー評価の考え方」
図11●ビーコンITが推奨する「ベンダー評価の考え方」
会社の質は簡単には変わらない。提案や金額は交渉次第で変えられる。長く付き合うのなら,変わらないものを重視して選ぶのが正しいアプローチ。(1)→(8)の順番で評価していくといい
>>良い提案を引き出す方法は? RFPの不足を補う
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