米Microsoftは7月24日(米国時間),「Exchange Server 2007」の「Beta 2」と「Forefront Security for Exchange Server」の初めてのベータ版を出荷した。Forefront Securityは,かつて「Antigen 9.0 for Exchange Server」と呼ばれていたものだ。そして言うまでもないが,ExchangeはMicrosoft製の企業向けメッセージング・サーバーのことである。Forefrontは補完的な製品で,米Sybariが作った複数のマルウエア対策エンジン技術を利用して,ウイルスやワーム,フィッシング攻撃,その他の電子的脅威からの保護機能を提供する。

 Microsoftは非常に計算された方法で,Exchange 2007の新機能の展開・通知を行っている。読者の皆様のなかにも覚えている方がいると思うが,Beta 1では,新しいロール(役割)・ベースのサーバー展開機能や,新しい管理ツール「Exchange System Manager (ESM)」や「Exchange Management Shell」,ノート・パソコンや携帯機器からの接続を容易にする「AutoConnect」(携帯機器の自動接続機能),「Outlook Web Access(OWA)」の新バージョン,音声による接続機能「Outlook Voice Access(OVA)」,スパム対策機能の強化---などの新機能が含まれていた。

 Exchange 2007 Beta 2で,私たちは今年の末か2007年の初頭に出荷される最終版により近づいた成熟した製品を目にすることだろう。Beta 2では,本製品のほとんどすべての側面で,幅広い新機能が追加されている。これらの新機能には以下のものが含まれている。同一サーバー上にある異なるディスクにまたがって動作できる「ローカル・コンティニュアス(継続型)・レプリケーション」,サーバーの構成情報や設定内容,データをパッシブ・クラスタ・ノードに複製する「クラスタ・コンティニュアス・レプリケーション」,「自動サーバー・アップデート」---だ。

 また,組織内のメールであれば,どこにルーティングされているかに関係なく,デフォルトで暗号化されるようになった。サーバー間を移動するメールであろうと,Microsoft OutlookやOWA,Exchange ActiveSync,Exchange Web Servicesなどに向かうメールであろうと暗号化される。モバイル・ユーザーは新世代のWindows Mobileデバイスを使って,無線でExchangeコンテンツを検索できるようになった。

 Microsoftのソフトウエアではよくあることなのだが,同社は積極的にExchange 2007に自社のシステムを移行している。同社はBeta 2を立ち上げる前から,「ドッグフード(自社使用版)・ビルド」のExchange 2007の使用を内部で開始していた。そして6月の中旬には,同社にある6,000を超えるメールボックスが同リリースで動いていた。同リリースを使用していた従業員には,Exchangeチームのメンバーだけではなく,OfficeのようなExchangeに関連するチームのメンバーも含まれていた。私が聞いた話によると,Exchange 2007への移行期間中,Microsoftの全職員は2Gバイトのメールボックスを与えられているそうだ。

 Exchange 2007とForefront for Exchangeは,2006年後半か2007年前半に同時に出荷され,スタンドアロンの製品としても入手できるし,Microsoftのボリューム・ライセンス・プログラムを通して手に入れることもできる。新しくできた「Exchange Enterprise Client Access License(CAL)」を購入したユーザーは,Forefront for Exchangeも利用できる。