●Vodafone 905SH
ワンセグ連続視聴時間:約4時間主ディスプレイ:2.6インチ(240×400ドット)主カメラ:202万画素CCDサイズ:49(幅)×105(高さ)×27(厚さ)mm重さ:約140g
 ボーダフォンは,シャープ製の「Vodafone 905SH」を販売している。発売は2006年5月末で3キャリアーの最後発であり,それだけ先行した各社の端末を研究する時間があったとも言える。搭載するのは2.6インチ・ワイド液晶で,シャープの液晶テレビのブランドを冠した「AQUOSケータイ」の名称に,自信のほどがうかがえる。

 外観上の最大の特徴は,「サイクロイドスタイル」と呼ぶ独特な視聴スタイル。携帯電話を開いた状態で,液晶部分を90度回転できるのだが,NTTドコモのFOMA「P901iTV」のL字型とは異なり,T字型のフォルムになる。この状態で液晶部分の角度も変えられるので,手で持つだけでなく机の上に置いてテレビを視聴するときも見やすいスタイルを選べる。

 使い勝手で便利なのは,通常の携帯電話待ち受け状態から液晶を横に回転したサイクロイドスタイルにするだけで,テレビが起動すること。さらにテレビ機能の起動まで1秒かからないため,素早くワンセグを楽しめる。テレビ機能が一つのアクションですぐに立ち上がるのは,ストレスなくワンセグを使いたいユーザーにはうれしい。

「携帯電話でテレビを見る」に一つの答え



●サイクロイドスタイルでテレビがすぐ起動
 最後発として「携帯電話にテレビ機能が付いたときにどんな使い方をするか」を研究した成果はほかにもいくつかある。

 テレビを見ている時の通話の着信はワンセグ対応携帯電話ならば当然の機能だが,905SHは通話だけでなくメールの着信/送信も可能なのだ。サイクロイドスタイルでテレビを見ていてメールが届いたら,液晶を縦位置に戻すだけでメールの閲覧や返信ができる。画面上部にはテレビが映ったままで画面下部にメール画面が表示されるため,見逃したくないシーンはそのままに,急ぎのメールにも返信できるというわけだ。

 また,イヤホンマイクを使ってワンセグを視聴しているような場合に便利な機能もある。着信があったらそのままイヤホンマイクで通話できるうえ,イヤホンからはテレビ音声が自動的に消えて,画面に字幕放送を表示する。テレビを見ながら携帯電話として使うシーンを想定して,機能を作り込んでいることが分かる。

 番組の録画機能ももちろん搭載する。現時点で905SHだけの機能として挙げられるのは,mini SDカードへの記録が可能なこと。1Gバイトのカードを使うと,最大5時間20分の番組を記録可能である。他キャリアーの端末が内蔵メモリーに30分程度しか記録できないことを考えると,現時点では大きなアドバンテージと言える。

 テレビ機能としては,ワンセグだけでなくアナログ放送にも対応している。ワンセグの電波が届かなくなった際には自動的にアナログに切り替えて受信する。ワンセグの連続視聴は約4時間,アナログテレビの場合は約1時間である。

 905SHはワンセグを視聴できる携帯電話として,機能面や使い勝手を考えたときに,熟成が進んだ端末と言える。携帯電話としてもVodafoneの第3世代(3G)携帯電話のほぼフル機能を搭載しており,2006年の夏に購入する端末としてちゅうちょする部分は少ない。

 重さは140gもあるとはいえ,現時点のワンセグケータイ最軽量は905SH。ワンセグのために何かを我慢するのではなく,最新携帯電話とワンセグがうまく同居している端末として満足度の高い機種である。