●W41H
ワンセグ連続視聴時間:約3時間45分ディスプレイ:2.7インチ(240×400ドット)カメラ:207万画素COMSサイズ:53(幅)×106(高さ)×27(厚さ)mm重さ:約159g
 KDDIは最も早くワンセグ対応の携帯電話を発売した。2005年12月には本放送に先駆けて,2.4インチ液晶を搭載したアナログ/ワンセグ両対応の「W33SA」(三洋電機製)を発売。その後,2006年2月には2.7インチ大画面ワイド液晶を搭載し受信機能をワンセグだけに絞った「W41H」(日立製作所製)の提供を始めた。さらに2006年6月にW33SAのマイナーバージョンアップ版の「W33SAII」を発売している。NTTドコモやボーダフォンが1機種ずつしかワンセグ対応携帯電話を発売していない中,auユーザーだけはワンセグケータイに選択肢がある。

 au携帯電話の3機種は,ワンセグ機能をBREWアプリで実装している。ナノ・メディアの「EZテレビ・ワンセグ」である。このため,3機種ともワンセグ受信のソフト面での機能や操作性はほぼ同等である。ここでは現時点での代表機である「W41H」を中心にレビューを進める。

ビュースタイルが“テレビ”を実感

 W41Hは,現行のワンセグ対応携帯電話の中で最大の2.7インチワイド液晶を搭載する。ワンセグは現在は基本的に地上デジタル放送と同じ番組を放送する「サイマル放送」であり,ワイド画面を生かして16:9のワイド番組を無理なく視聴できる。

 視聴スタイルは2通り。一つは通常に携帯電話を開いた時と同じスタイルで,画面を縦型に使って表示する方法。データ放送を画面下部に表示する。この状態ではダイヤルキーを使った選局やナビゲーションキーによるデータ放送コンテンツの選択などが可能だ。

 もう一つが“ビュースタイル”と呼ぶ横型の視聴方法。液晶画面を反転させて折りたたんだ状態である。HITACHIのロゴが横位置の液晶の下にあることもあり,小型のモバイルテレビといった印象が強い。ワイド液晶をフルに生かしてテレビの視聴ができるスタイルである。折りたたんでいてダイヤルキーが使えないため,チャンネル操作や音量,録画などの操作は横位置の液晶上部にまとまったボタンで行う。操作に不都合はないが,ボタンが小さいのが難点だ。



●液晶を表に折りたたむとテレビ風のビュースタイル 充電台に置くとまるで小型テレビ
 デザイン面では,テレビ視聴を意識した横置きの充電台にも注目したい。自室でのサブテレビといった使い方を考えるなら,充電しながら横位置でテレビを見られる視聴スタイルには魅力がある。

 大画面液晶は明るく精細で,十分にテレビを“楽しむ”ことができる。連続視聴時間は3時間45分と最長クラス。本体メモリーに30分までの録画が可能である。便利なのが「タイムシフト再生」機能。テレビを見ているときに電話がかかってきたような場合,最大2分まで自動的に録画し,通話後に1.3倍速再生することで放送中の番組に追いつく。安心して携帯電話本来の機能である通話に使えるわけだ。

 テレビの起動は,メニューからまたは液晶画面脇にある「TV」ボタン長押しで。NTTドコモのFOMA「P901iTV」やボーダフォンの「Vodafone 905SH」のように液晶部分を回転させるといったアクションだけでは起動できない。さらにEZテレビ・ワンセグのBREWアプリが起動する時間が数秒かかるため,急いでテレビを見ようとすると少々もどかしい。

 字幕放送に対応してるため,音を出せずイヤホンもできないような状況でも番組の内容を確認できる。ただし,BREWアプリとハードウエアの連携がうまくできていない点として,イヤホンを抜き挿しした際の音声制御がある。イヤホンを端子に挿し込んでもスピーカーからは音が出続け,EZテレビのメニューから音声のON/OFFを選ばなければスピーカーの消音ができない。

 携帯電話としては,auの春モデルの最新機能を盛り込んだフラッグシップモデルといえる。何かに我慢することなく最新の携帯電話でワンセグも楽しめる。ワンセグ対応携帯電話の中でも最重量の159gという重さと一般の端末より一回り大きめのサイズさえ許せれば,ワンセグ対応の端末として満足できる機種である。