東名阪で2006年4月にサービスが始まり,サービスエリアが広がってきた「ワンセグ」。地上デジタル放送のサービスの一つで,携帯電話やカーナビなど,移動する端末でテレビ受信を前提にしたものだ。デジタル放送ならではのクリアな画質と,文字や画像を使ったデータ放送が特徴である。

●ワンセグの画面
(テレビ朝日提供)


 携帯電話やカーナビには,これまでも地上アナログ放送を受信できる製品が数多くあった。しかしアナログ放送では,移動に伴う電波条件の変化で安定した受信ができなかった。デジタル変調方式を使うワンセグでは,移動しながらでも安定した映像と音声の再生が可能だ。

 もう一つのポイントは,データ放送である。ワンセグは地上デジタル放送やBSデジタル放送と同様に,放送波にデータを載せて送信し受信機で表示する仕組みを備えている。携帯電話の場合,画面を「縦」にして視聴すると,下部にデータ放送コンテンツが表示される。ニュースや天気予報などの一般情報に加えて,テレビ放送と関連した情報を流す“番組連動データ”でもさまざまな試みが行われている。

 ワンセグのテレビを見られる携帯電話があることは知っていても,なぜ“ワンセグ”と呼ぶのか,どんな仕組みで放送しているのかまではよく知らない読者の方も多いだろう。そこでITproでは夏休みスペシャルとして,ワンセグの仕組みや市販されている対応携帯電話,さらにワンセグサービスを提供している放送局のワンセグへの対応状況やサービス内容をまとめて紹介する。

 まだ端末が十分に普及したとはいえないワンセグ対応携帯電話。しかし,現在1機種の提供にとどまっているNTTドコモが7月末の決算発表で4~5機種を追加する方針を公表しているように,今後は徐々に携帯電話の標準機能に近づくことが期待できる。この夏にワンセグ対応携帯電話の購入を考えている人も,近い将来の買い換えを検討している人も,まずはワンセグの仕組みや現状を“知る”ところから始めよう。

ワンセグケータイCheck

●ワンセグ対応の携帯電話

 ワンセグは新しいデジタル放送であり,視聴には受信に対応した端末が必要になる。移動しながらや出先でテレビを見たいときに,最も身近な端末といえば携帯電話。携帯電話キャリアー各社は,サービス開始に前後してワンセグ対応の携帯電話を発売した。キャリアーごとに,ワンセグ対応携帯電話の機能や使い勝手をチェックした。

  • NTTドコモ ---画面の90度回転でテレビ起動が便利な「P901iTV」
  • KDDI(au)---大画面2.7インチ液晶搭載「W41H」など3機種を提供
  • ボーダフォン ---使い勝手をじっくり熟成した「Vodafone 905SH」
  • ワンセグを読み解く基礎知識

     ワンセグは,地上デジタルテレビ放送の一種で,携帯端末向けのサービスを提供する。地上デジタル放送の1チャンネルには,13のセグメントがあり,その中の1つのセグメントを使って放送することから“ワンセグ”と呼ぶわけだ。また,携帯端末向けのデジタル放送としては,今後サービスが始まる予定の地上デジタルラジオもある。これらの仕組みやサービス・イメージを解説する。

  • 第1回 ワンセグとは
  • 第2回 ワンセグ放送のサービス・イメージ
  • 第3回 地上デジタルラジオの仕組みと特徴
  • 第4回 デジタルラジオのサービス・イメージ
  • ワンセグ放送局探検隊

     東名阪からサービスが始まったワンセグ。実際にワンセグのサービスを提供するテレビ局は,ワンセグをどのような位置づけでとらえているのだろうか。ワンセグによる視聴機会の増加は期待通りなのか。ワンセグのデータ放送にはどんなコンテンツを提供しているのか。在京キー局と,名阪および神奈川の放送局の担当者に,現状の分析と取り組み,今後の課題や期待をインタビューした。

    【在京キー局】

  • 日本テレビ放送網[前編][後編]
  • 東京放送(TBS)[前編][後編]
  • フジテレビジョン [前編][後編]
  • テレビ朝日[前編][後編]
  • 【地方局など】

  • 読賣テレビ放送[前編][後編]
  • 関西テレビ[前編][後編]
  • テレビ神奈川[前編][後編]
  • 中部日本放送[前編][後編]
  • 名古屋テレビ(メ~テレ)[前編][後編]
  • ※記事内容は取材時点のものです。番組などは変更している可能性があります