最近のプロセッサは,単なる処理性能向上にとどまらず,マルチコア化や仮想化技術の搭載など,高性能・多機能化が進んでいる。同時に,仮想化ソフトウエアも充実してきており,市場での仮想化に対する需要は益々高まっている。

 2005年12月,Microsoftの「Virtual Server 2005 R2」が出荷開始された。「R2」では,機能が追加/強化されている。例えば,ホストOSとしてx64 EditionとWindows XP SP2への対応,仮想マシンのF6ディスク(SCSIディスク)対応,iSCSIへの対応によるVirtual Serverホスト・クラスタ,処理性能の改良などだ。

 ここでは,Virtual Server 2005 R2の処理性能の改良点に焦点を当て,独自に実施したVirtual Server 2005とVirtual Server 2005 R2の性能テストを実施した。その結果,同じハードウエア構成で,R2は従来版の2倍の処理性能が出た。Virtual Server 2005 R2の処理性能を向上させる指針も紹介する。なお,Virtual Server 2005 R2の新機能については次回以降に紹介する予定だ。

Virtual Server 2005 R2のアーキテクチャ

 Virtual ServerをホストOSにインストールするとVirtual ServerのサービスとVMM(Virtual Machine Monitor)が追加される(図1)。仮想マシンからの命令やI/O要求は,一度ホストOSのスケジューラやVMMを介して,物理的なハードウエアにアクセスすることになる。この仕組みは,VMwareのVMware Serverによく似ている。

図1
図1●Virtual Server 2005 R2のアーキテクチャ

 Virtual Serverの利点は,その導入と管理が容易なことである。Virtual Serverは,Windows Server 2003やWindows XP SP2に,アプリケーション・ソフトとしてインストールできる。また,Virtual Serverの管理は,Internet Explorerを使用して管理Web画面で行う。そのため,Virtual Serverを利用するには,Internet Information Services(IIS)が必要である。

 Virtual Serverは,ホストOS,仮想化ソフトウエア,管理ソフトウエアのすべてがマイクロソフトから提供されているため,それらの親和性が高い。複数のVirtual Serverを利用する場合は,Microsoft Operations Manager 2005(MOM)で一元管理可能である。