IP電話を導入,運用を開始する際,システム・インテグレータはもちろんのこと,ユーザー企業の担当者も“ヒヤヒヤ”ものであろう。とくに,電話という当たり前の存在のインフラでは,従来通りに動いて当たり前。なにか問題があったら,業務に支障が出て,大きな非難を浴びる。とはいえ,ユーザー企業のシステムは,多種多様。実際の導入では,いろいろなことが起こる。「なぜ,そのようなことが起こるのか」,首をかしげる場面も少なくない。

「ヒヤリ!」「ナゼ?」

 IP電話でヒヤリとするのは,「音」に絡む場合が多い。なんらかの問題があると,現象として,音に問題があると気づく場合が多いからである。音の問題は,ユーザーは敏感である。社内のあちこちから,「おかしい」という質問やクレームの声が上がる。とはいえ,原因はさまざまであり,解決まで苦労する場合が少なくない。

その1:音が途切れる

 ユーザー企業からインテグレータのところに「音が途切れる」というトラブル報告があった。「それまで約1年間,正常に稼働していた」「そのユーザーは本館と別館を無線LANで接続しており,以前,無線LANが原因のトラブルがあった」。このため,まず,その無線LANが疑われた。

 無線のレベルを調べるバンド・モニターを使い,無線LAN周りを徹底的に調べた。その結果、“樹木”という容疑者が浮上した。ところが異常はない。原因はまったく別のところにあった。

【詳細は】
IP電話トラブル,ネットワークのデフォルト設定を疑え


その2:会議室で電話が切れる

 FOMA/無線LANデュアルを利用する企業で,「会議室で電話が切れる」という問題が発生した。一歩動いただけで,音声品質が急に低下するという。電波強度を測定しても問題はない。

 無線LANを流れるデータを調べたら原因が判明した。単に,無線LANアクセス・ポイントから端末へは電波が届いていたが,その逆が届いていなかった。

【詳細は】
「FOMA N900iL」導入を実践(前編)


その3:電話から変な音が聞こえる

電話機から変な音が・・・
 受話器から変な機械音が聞こえ,そのあと,電話できなくなる。このような現象も起こる。それまで数カ月,正常に動作していた。

 音声ゲートウエイのログを収集,調査しても原因がわからない。特定の電話機だけで,このトラブルが発生するという。ならば,電話機の故障かと“期待”しつつ,電話機を交換したが,また同じトラブルが発生。お手上げとなった。実は,FAXが犯人であった。

【詳細は】
思わぬ原因でIP電話にトラブル発生


その4:突然無音

 「ときどき,突然無音になる」というトラブルが発生。無音となるのだから,当然,電話が使えない。このトラブルは、就業時間が終わるころ,帰宅する社員,出先から帰ってくる社員などがバタバタと騒がしいときに発生することが多いという。

 バタバタという物理的な動きがネットワークに悪影響を与えているはずがない。原因は,スパニング・ツリーが関係していた。

【詳細は】
IP電話トラブル,ネットワークのデフォルト設定を疑え


その5:電話しても誰も出ない(1)

 電話しても誰も出ない,という問題が生じる場合がある。無線IP電話は,オフィス内どこにいても,電話がつながるというメリットがある。そのため,ダイヤルイン番号を設定して,社外からの電話を直接受けられるようにしている場合が多い。

 しかし,無線を使う以上,どこかに電波が届かない場所が生じる。また,バッテリ切れもある。だからといって,「電波が届かないところ・・・」などと案内するわけにいかない。先方は,「03-XXXX-XXXX」などという通常の固定電話番号をダイヤルしているからだ。無線IP電話は運用に注意が必要である。

【詳細は】
「FOMA N900iL」導入を実践(後編)


その6:電話しても誰も出ない(2)

電話に出ないのは・・・
 IP電話を導入したら,相手が電話に出なくなった,という例がある。IP電話化に伴い,個人番号を徹底し,ボイス・メールを導入。電話をかける場合は個人番号を使い、受ける側は不在の場合でもボイス・メールが伝言を記録しておいてくれる。

 この結果、IP電話システムが最低限の電話の応対をしてくれるという環境が用意された。これが災いした。

【詳細は】
「電話をかけて相手が出なくて困ったことありませんか?」