フリー・エンジニア
高橋隆雄 フリー・エンジニア
高橋隆雄


前回はインストール前のいわば下準備にあたる解説を行った。今回は実際のインストール作業を行うことにしてみよう。なお、Asteriskのバージョンは本稿執筆時点の最新バージョンである1.2.10を使って例示する。

・マシンは何を使うか?

 今回はオーソドックスにIA系サーバーを使って、Asteriskをソースからインストールする方法を解説する。このため使用するマシンはLinuxが動作すれば、IA系のサーバーあるいはデスクトップでもかまわない。今回の例ではLinuxカーネル2.6系を用いるためハードウエアへの依存性はないが、もしLinuxカーネル2.4系のLinuxマシンにインストールしようという場合にはUSBドライバの関係でIntel系チップセットを使用したマシンの方が無難である。ただし、USBドライバが適合しない場合であってもZaptelが使えないだけなので、一部の機能を使わなければAsteriskそのものは動作する。

 マシンに対する要求仕様はそれほど高くない。最低でもPentium III 800MHz程度と言われているが、これより低いスペックのマシンでも動作する。もっとも、コンパイルやインストールに相当の時間がかかることは覚悟する必要がある。

・Linuxディストリビューションに何を使うか?

 すべてのディストリビューションについて解説を行うわけにはいかないので、今回はCentOS 4.3を使った場合を例示する。CentOS以外でもほとんど同様に行うことができるはずなので、参考にしてほしい。CentOSはRedHat Enterprise Linuxのソースを元に作られたフリーなOSで、最近はサーバー用OSとして人気が高いようだ。これまでのRedHat Linuxと同様のコマンド類が提供されていることもあって使いやすい。今回使用したバージョンは先述の通りCentOS 4.3であるが、インストール後には最新の状態に更新してから使用している。

 CentOSはhttp://www.centos.org/から入手できる。筆者の場合にはインストール先のマシンにDVD-ROMを搭載していないものがほとんどなので、4枚分のCD-ROM ISOイメージをダウンロードしてCDを作成し、インストールした。なお、AsteriskはサーバーであるからGUIは必要ない。筆者はlinux textでインストールを開始し、インストール・タイプは「Server」を選択している。Asteriskを使用してPBXを構築する場合、GUIはマシン負荷を消費するため動作させない方が望ましい。なお、今回インストールしたパッケージ・グループは以下の通りだ。

Text-based Internet
Sound and Video
Server Configuration Tools
Web Server
Mail Server
Windows File Server
DNS Name Server
FTP Server
Network Servers
Lagacy Network Server
Development Tools
Administration Tools
System Tools

 上記のパッケージ・グループは必ずしもすべて必要というわけではない。例えばWindows File Server(samba)はAsteriskには直接関係しないのでなくてもかまわないが、サーバー・マシンとして使うときに便利という理由で入れてある。Sound and Videoも使用するマシンにサウンド・カードが無ければ要らない。

 CentOSのインストールが完了した後はRedHat同様にGUIログインが起動するが、先述のようにGUIは不要なので、一回「Failsafe Terminal」でログインし/etc/inittabを以下のように編集した後に再起動する。こうするとシステムの起動ランレベルは3となり、GUIなしでマシンが起動する。

-----/etc/inittab
Default runlevel. The runlevels used by RHS are:
# 0 - halt (Do NOT set initdefault to this)
# 1 - Single user mode
# 2 - Multiuser, without NFS (The same as 3, if you do not have networking)
# 3 - Full multiuser mode
# 4 - unused
# 5 - X11
# 6 - reboot (Do NOT set initdefault to this)
#
id:3:initdefault: ←ここの2番目のフィールドを3に修正

# System initialization.
si::sysinit:/etc/rc.d/rc.sysinit
-----

 インストール後には"yum"を使ってシステムを最新の状態に更新しておくのが望ましい。インターネット接続が可能であれば、"yum update"を実行することでマシンは最新の状態となる。

 以上でおおむねAsteriskを使用するサーバー・マシンとしてのインストール/初期設定は完了する。なお不要なサービス類は各自で起動を停止するなどしておいてほしい。例えば筆者は「X Font Server(xfs)」や「Common Unix Printing System(cups)」は使わないので停止している。