マイクロソフトのユニファイド・コミュニケーション戦略の推進に呼応し,国内企業でいち早く戦略的協業を発表したのがNECだ。マイクロソフトの「Microsoft Live Communications Server 2005(LCS)」と同社のSIPサーバー「SV7000」を連携させる「OW1000」というミドルウエアを開発。これにより,WordやOutlookなどのOfficeアプリケーションから,マウス操作で電話をかけられるようになるなど,利便性が向上する。

 マイクロソフトは,ユニファイド・コミュニケーション戦略を展開するうえで,パートナー企業との連携を積極的に進める。「パートナー・エコシステム」という提携プログラムを打ち出したのもその表れである。

 国内企業ではNECが他社に先駆け,同社とのオフィス・コミュニケーション領域における協業を発表した。国内に限らず,グローバルな展開を想定している。「特に日本国内において,オフィス系アプリケーションのシェア分布は,ほぼ確定した感がある。マイクロソフトの持つオフィス・アプリケーション分野での強みとNECの“電話”の分野での強みを生かしたソリューション提供を積極的に推進していく」とNEC UNIVERGEソリューション推進本部 統括マネージャーの渕上 弘行氏は語る。

LCSとNECのSIPサーバーをつなぐミドルウエアを開発

 両社の協業が打ち出す戦略製品の第一弾が2006年5月15日に発売した「UNIVERGE OW1000」だ。これは,プレゼンス・サーバー「Microsoft Live Communications Server 2005(LCS)」とNECのIP電話サーバー「UNIVERGE SV7000」を連携するためのミドルウエア製品。OfficeアプリケーションからLCSが管理するプレゼンス情報を利用しながら,SV7000を使ってIP電話を活用できる。

 たとえば,受け取ったメールを見て,そのメールの送信者に電話をかける操作を考えてみる(図1)。メールの受信者は,そのメールの「差出人」のところに表示されるLCSからのプレゼンス情報をチェック,電話をかける操作をする。そのメッセージをLCSから受け取ったOW1000は,SV7000に合わせてメッセージを変換,転送する。SV7000は,双方の電話を呼び出し接続する。

図1 「UNIVERGE OW1000」によって「UNIVERGE SV7000」と「Live Communications Server 2005」を連携
図1 「UNIVERGE OW1000」によって「UNIVERGE SV7000」と「Live Communications Server 2005」を連携
Outlookで受信したメールをマウスで操作するだけで,送信者に電話をかけられる。

 LCSは,ECMA(European Computer Manufacturers Association:欧州電子計算機工業会)が標準化したPBXとサーバーなどを接続するインタフェースを基本としている。このため,「比較的に容易に接続できた」(NECの渕上氏)という。