以前,「ポストStruts候補」として紹介したStruts Shale FrameworkがStrutsプロジェクトから抜けて,トップレベルプロジェクトとなった(関連記事)。配布形式も以前のような開発ビルドではなく,バージョン番号つきのパッケージが配布されるようになり,リリース間近の様相となっている。これでますます,今後のWebアプリケーション・フレームワーク,すなわちポストSturtsの候補探しが現実味を帯びてきた。

 今回は,技術的な紹介ではなく,現在のWebアプリケーション・フレームワークを取り巻く状況と,将来の予測について紹介したいと思う.

5年後,10年後の標準Webフレームワークは何か

 現時点においては,多くのシステムにてWebアプリケーション・フレームワークにStrutsが利用されているのはご存知のとおりだ。また,進行中のシステム構築案件においても多くの方が利用されていることだろう。

 一方,システム寿命や運用後のメンテナンスといった将来に目を向けた時,今のStrutsは5年後,10年後には別の何かにその地位を奪われているかもしれない。

 例えば,Strutsが登場した頃,同じApache Software Foundation内にTurbineというStrutsと同じオープンソースのWebアプリケーション・フレームワークが存在していた。

 当時のWebアプリケーション・フレームワークといえば,開発会社が独自に保有しているものを利用するか,商用プロダクトを購入して利用のが一般的であったが,一部の先進的な開発会社は Turbine を利用し,Webアプリケーションを開発していた。少ない日本語情報や膨大な機能を使いこなして開発を行っていたことは賞賛に値すると筆者は思う。

 しかし,その後,Strutsが登場したことで,状況は一変してしまう。いまや Turbine の技術者を集めるよりも Struts の技術者を集めるほうが容易であり,ノウハウ情報も多く流通している。現時点で Turbine ベースのシステムを改修,拡張するには相当のノウハウをもった開発会社を探す必要があるだろう(たぶん,最初に開発した会社に落ち着くと思われる)。

 同様の状況が5年先10年先のシステムにおいて発生する可能性は十分に考えられる。Turbineの場合との違いは,将来の時点で多くの開発会社がStrutsを経験してきている点だろう。ただし,その時実際に開発に携われる人員が経験しているとは限らないが。

 このような状況を避けるためには,どうすればよいだろうか。以降では,この辺りについて考えてゆこう。