図1 サーバー型放送は,ホーム・サーバーに蓄積したものを呼び出して見る新サービス(イラスト:なかがわ みさこ)
図1 サーバー型放送は,ホーム・サーバーに蓄積したものを呼び出して見る新サービス(イラスト:なかがわ みさこ)
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図2 サーバーにないコンテンツはIP網経由でダウンロードして見る(イラスト:なかがわ みさこ)
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 サーバー型放送とは,「ホーム・サーバー」と呼ばれる装置を各家庭に置き,放送されたテレビ番組をそのホーム・サーバーに蓄積して,視聴者が好きなときに見られるようにするサービスのことである。NHKとWOWOWは,2007年中にサーバー型放送を開始する方針を明らかにしている。

 サーバー型放送は一見,すでにあるHDDレコーダで番組を録画するのと大差ないように見える。しかし,サーバー型放送には放送局が番組ごとに用意した「メタデータ」と呼ばれる補助情報を番組と併せて蓄積させるという特徴がある。メタデータには番組のタイトルやジャンル,放送日時,シーン別の情報やキーワードなどが含まれていて,視聴者はこれらの情報を基にホーム・サーバーの「ECG」(electoronic content guide)と呼ばれるメニュー画面から番組を検索,再生できる。

 具体的なサービス内容は各放送局がまだ検討中だが,スポーツ番組のダイジェスト視聴や関連番組,関連情報の提供などが想定されている。例えば,メタデータのシーン別情報を利用することで,あらかじめ蓄積しておいたサッカー中継番組の中からシュート・シーンだけを抽出して見るという使い方ができる(図1)。

 また,番組放送時に提供される関連番組や関連情報をサーバーに蓄積しておくと,後から補足情報として見ることも可能。例えば,ある放送局が時代劇の番組とともに舞台となった土地の観光情報を提供するケースでは,この観光情報を蓄積しておけば,視聴者は時代劇を見た後で,観光情報だけを呼び出して見られる。

 さらに,サーバー型放送ではインターネットを介したオン・デマンド配信サービスも実施する予定だ。過去に放映した番組など,ホーム・サーバーに蓄積されていない番組は,視聴者がECG画面からインターネット回線を通じて放送局のデータベースにアクセスし,検索して,ダウンロードできるようにする(図2)。タイトルや放送日から番組を検索できるだけでなく,蓄積してある番組のメタデータから過去に放送した関連性の高い番組を検索することも可能である。

 ホーム・サーバーに蓄積した番組には,再生できる回数や期限,DVDなどの外部メディアへの書き出しの可否といった条件を放送局が設定する。これらの条件はメタデータに含まれていて,このデータを基にサーバーがコンテンツを管理する。放送局側で著作権を管理しやすくするためである。