私は,Windowsプラットフォームが好きだ。非常に機能的だし,パソコンを使ってやりたいことのほとんどを可能にしてくれるソフトウエアが豊富にそろっているからだ。その上,あまりにも長い間使っているので,自転車に乗るのと同じような感じになっている。つまり,ほとんど意識せずに使っているのだ。しかし,Windowsにもイライラさせられる点がいくつかある。その中で最もイライラさせられるものが,マルウエア(悪意のあるソフトウエア)だ。

 セキュリティ・ソリューション・ベンダーの米McAfeeが先日語ったところによると,同社がセキュリティ上の脅威の情報を蓄積するデータベースに10万件目の脅威情報を追加したのは,2004年9月のことだったそうだ。脅威情報の件数が10万件に達するには,18年の時間がかかったという。

 しかし衝撃的なことに,同社の脅威データベースのサイズが2倍になるのに,その後2年もかからなかった。2004年9月から2006年7月の間に,同社は新たに10万件の脅威情報をデータベースに追加し,セキュリティ上の脅威の件数は20万件に達したのである。これは驚くべき成長率だ。成長が鈍化する様子もない。McAfeeによると,現在の傾向が続いた場合,2008年の終わりまでにデータベース上の脅威の件数は40万件を超えるそうである。

 別のセキュリティ・ソリューション・プロバイダである英Sophosは,ここ6カ月間のサイバー犯罪の傾向をまとめた報告書を,先日発表した(関連記事「当面はMacの方が安全,2006年前半のマルウエア被害調査」)。彼らが作成したマルウエア・プログラムのトップ10リストに載っているのはすべてが変種で,SoberやNetsky,Mytob,Bagle,Zafi,Nyxemといった聞き覚えのあるものばかりだ。この報告書で注目すべき点は,2006年の現時点までに新たに現れたマルウエアの大半はトロイの木馬で,すべての新しいトロイの木馬の標的はWindowsプラットフォームである,ということである。

 私がSophosの報告書で最も興味深いと思うのは,同社がホーム・コンピュータ・ユーザーにMac OS Xに乗り換えるよう勧めていることだ。「(侵入者)は専らWindowsユーザーを標的にすることに満足して,他のプラットフォームにまで対象を広げようとはしていないような気がする。恐らくしばらくの間は,Macがコンピュータ・ユーザーにとってWindowsよりも安全な場所であり続けるだろう。コンピュータの買い換えを考えているユーザーは,このことを念頭に置いておくといいかもしれない」と,Sophosの上級技術コンサルタントのGraham Cluley氏は語っている。

 当然,このコメントは多くの論争を呼んだ。Slashdotでも議論が何度か行われた。予想通り,様々な意見や考え方がある。

 Mac OS Xは,私の目には非常に魅力的に映る。Windowsと比べて侵入者の標的になることが非常に少ないOSであるだけでなく,(少なくとも現時点では)非常に機能的なデスクトップ・プラットフォームでもあるからだ。米Appleは8月上旬に開かれる「Worldwide Developers Conference」において,「Leopard」という開発コード名で呼ばれる次世代Mac OS Xを公開する予定である。この新OSでは一体どんなことが可能になるのか,私は楽しみにしている。

 自分のシステムをWindows Vistaにアップグレードし,それをフルタイムで使用しなければならなくなる時,私は間違いなく新しいハードウエアを購入する必要に迫られるだろう。私はAppleの新しいIntelベースのハードウエアを購入して,Mac OS XとWindows Vistaの両方を起動できるデュアル・ブート・システムを構築することを検討している。読者の皆様の中にも,同じようなことを検討されている方がいるのではないだろうか。