チャンネル番号とは,放送局が受信機に指定する[1]~[12]の番号のこと。リモコンの数字ボタン[1]~[12]に割り振られるため,リモコンIDとも呼ばれている。視聴者は,リモコン上の数字ボタンを押すことによって,その放送局の番組を見ることができる。

 地上デジタル放送は,今まで地上アナログ放送で主に使用していたVHF帯からUHF帯に移る。たとえば,東京圏ではNHK総合はUHFの27チャンネルに,日本テレビはUHFの25チャンネルに移る。すると,地上デジタル放送の選局も,これまでと同様に,NHKであれば27チャンネル,日本テレビであればUHFの25チャンネルと実際のチャンネル番号を選択する必要がでてくる。しかしこれでは視聴者の利便性を損なうため,今までの地上アナログ放送と同様に[1]~[12]ボタンでダイレクトに選局できるように,リモコンの数字ボタンに,放送局を自動的に割り当てる仕組みを採用している。


表1 受信端末が持つ東京地区における地上デジタル放送のチャンネルリスト
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 リモコンに割り振られるチャンネル番号は,予め放送事業者間で決められている。これは,受信機が自身のリモコンのワンタッチボタンのどの番号にどの放送局を割り付けるかを,その地域の放送局が電波を使って受信機に知らせるようになっている。放送局が指定する番号がリモコンIDである。例えば,関東圏域では,NHK 総合が1チャンネル,日本テレビが4チャンネルなどである(表1)。

3けたのチャネル番号

 実は,地上デジタル放送受信機のリモコンによる選局方法は,大きく分けて3通りの方法がある。[1]~[12]のリモコンIDを使うのは,そのうちの一つの方法である「ワンタッチボタンによるダイレクト選局」に分類される。,2つ目はチャンネル・アップダウン・ボタンによるアップダウン選局,3つ目は「3けたのチャンネル番号を入力するダイレクト選局」である。

 地上デジタル放送では,BS/CSデジタル放送と同様に,1チャンネル内で複数の番組を放送することができる。例えば,「時間延長された野球放送」と「ニュース」,「ドラマ」といった複数の番組を1チャンネルで放送できる。各チャネル内の番組は「サービス種別(テレビが[0],データ放送は[1]と[2],部分受信は[3])」+「1けたのリモコンID」+「サービス番号」の3けたの番号で表される。例えば,NHK教育のテレビ番組を視聴する場合は,[021][021][023]と3けたの番号で選択することになる。この3けたのチャンネル番号を「編成チャンネル」とも呼ぶ。

自地域と他地域のチャンネル番号重複対策に枝番号を使用

 地上デジタル放送は,総務省が免許した地域ごとの域内放送受信が基本となるが,視聴者が住んでいる地域によっては,他地域の電波が漏れて受信できてしまう場合がある。

 他地域(他県)の放送が受信できた場合,自地域の放送局のチャンネル番号と他地域チャンネル番号が重複することがある。例えば,東京地区において,神奈川県のテレビ神奈川(3チャンネル)と埼玉県のテレビ埼玉(3チャンネル)の両方を受信できる場合,同じ3チャンネルでチャンネル番号が重なってしまう。この時,3けたチャンネル番号も同じになるので,受信機はこれらの放送局を区別するために,もう1けたの番号を付け足して4けたの番号で表す。この4けた目の番号のことを「枝番」と呼んでいる。

枝番割り当て方法

 受信機において,枝番を割り当てる方法は,(1) 初期スキャン時と(2) 再スキャン時がある。なお,枝番は[0]~[9]までの番号であり,[9]を超える場合の対応方法は,商品企画となっている。
  • 新規スキャン
    域内のサービスには,その局ごとに枝番[0]を割り当てるが,リモコンIDが重なる場合は,地域識別が県域(域内)のものを[0]とし,残りを地域識別順に[1]から割り当てる。次に域外の局で,リモコンIDが重なっているものに関して,その局の全てのサービスに対して地域識別順に域内で割り当たっている枝番に追加する方法で割り当てる。

  • 再スキャン
    再スキャンで現状のサービスで受信できないものがあった場合でも,そのサービスの枝番号は欠番として残しておく。再スキャンにより新たなサービスが検出された場合,それが既に登録されている局のサービスの場合は,その局の枝番を割り当てる。そのサービスが新たな局の場合,域内の局でリモコンIDが重ならない場合には枝番は[0] を割り当てる。

 リモコンIDが重なる場合と域外のサービスの場合,枝番はそのリモコンIDに割り当たっている番号の後に割り当てる。ただし,新規開局した県域の局のリモコンIDが既存の広域局のリモコンIDと同じであった場合,初期スキャンと同じように新規の県域局に枝番[0]を割り当て,既存の広域局は枝番を後ろに追加で割り当てる。

 この枝番も含めたダイレクト選局方法については,受信機メーカーによって操作が若干異なることが考えられるのため,当該メーカーの取扱説明書等でご確認が必要である。

ワンセグ対応携帯電話が持っているチャンネルリスト

 上述したとおり,選局をアナログ放送の時と同様にスムーズに操作できるように,ワンセグ放送対応携帯電話では,チャンネルリストを持っている。チャンネルリストには,(1)地域識別,(2)物理チャンネル番号,(3)放送事業者名,(4)サービスID(3サービスを識別するID),(5)リモコン番号,(6)枝番が記録されている。ワンセグ放送サービスを視聴するユーザは,(4)のリモコン番号で選局できるようになっている。

 チャンネルリストは,一般の固定型テレビの場合には一度受信状態をスキャンニングしチャンネルリストを作成するだけで済む。一方,ワンセグ放送対応携帯電話は,固定型テレビと異なり複数の視聴エリアを移動することから,毎回スキャンニングを行ってリストを更新する必要がある。そこで,チャンネルリストを通信機能を利用して,サーバーから取得できるサービスや携帯電話に登録されていない地域に入った場合は,自動的にチャネルリストを作成し追加する機能が,今後提供されることが望まれる。

参考文献: ・ARIB TR-B14 2.3版「地上デジタルテレビジョン放送運用規定技術資料」