米マイクロソフトは2006年6月25日,音声や映像などを統合するユニファイド・コミュニケーションに関する製品などのロードマップを発表した。目玉は「Microsoft Office Live Communications Server 2005」の後継製品「Microsoft Office Communications Server 2007」。これを核に,IP電話やWeb会議などの機能を提供する。併せて,これらと連携する製品・サービスの提供にかかわるパートナー企業に向けたプログラム「パートナー・エコシステム」を明らかにした。

 The New World of Work--。マイクロソフトの新しいコミュニケーション製品群によって描く「業務の新世界」。米マイクロソフトは,2006年6月25日に発表したユニファイド・コミュニケーション関連の製品群によって,新たな業務スタイルを生み出し,生産性向上を狙う。

 ユニファイド・コミュニケーションに関するロードマップで,目玉となる製品は「Microsoft Office Communications Server 2007」(OCS)である(表1)。「Microsoft Office Live Communications Server 2005」(LCS)の後継製品。北米で2007年第2四半期までに出荷する予定。IP-PBX機能などを搭載し,従来のインスタント・メッセージ(IM)や電子メールに加え,電話やWeb会議を統一的に扱えるユニファイド・コミュニケーション環境を提供する。

表1 米Microsoftが提供する主な製品
北米での出荷時期は,Exchange Serverは2006年末から2007年はじめ,それ以外は,2007年第2四半期。
製品名 概要
Microsoft Office Communication Server 2007 プレゼンス情報をベースにしたリアルタイム・コラボレーション・プラットフォーム。従来のインスタント・メッセージに加え,音声や映像の通信,Web会議機能を備える。簡易IP-PBX機能も搭載
Microsoft Exchange Server 2007 電子メールやボイス・メール,FAXなどを扱う統合受信ボックスや,どんな電話からでもアクセス可能にする自動音声案内機能が追加された
Microsoft Office Communicator 2007 Communication Server 2007と連携するクライアント。ソフトフォンやインスタント・メッセージ,Web会議などの機能を持つ。デスクトップ用およびブラウザ・ベース・システム用,Windows Mobileベース・システム用を提供
Microsoft Office Live Meeting Web会議サービス
Microsoft Office RoundTable 360度カメラを備えた音声/映像用の装置。内蔵する5台のカメラで360度を写してパノラマ表示
Microsoft Office Communicator phone experience IP電話機などに搭載し,Communication Server 2007と連携,コミュニケーション可能とするソフトウエア
PCの周辺機器群 USBで接続するハンドセットやワイヤレス・ヘッドセット,Webカメラ,音声やビデオの機能を組み込んだPCモニターなどの周辺機器群。おもにパートナーが提供

 業務を効率よく進めるには,社内はもちろん,関係者や取引先など社外との連絡,協力が不可欠である。とはいえ,関係者が集まるのは容易でない。そのため,電話や電子メール,それからインスタント・メッセージ(IM),テレビ会議といったコミュニケーションやコラボレーション(共同作業)のためのツールがある。これらのツールを効果的に使いこなし,業務をいかに効率的に進めるかがオフィス・ワーカーの共通の課題となっている。

 マイクロソフトが実現するコミュニケーション環境は,たとえば,連絡を取りたい相手が席にいるか,あるいは「手が離せない」といった状態を把握でき,そのうえで電話をするか,インスタント・メッセージで伝えるかなどの手段が選べる。強みは,Outlookをはじめ,Microsoft Officeから簡単にこれらの操作ができること。同社のリアルタイム・コラボレーション(RTC)戦略が次の段階に移る。

多様なコミュニケーション手段を統合,Officeとの連携が強み

 マイクロソフトが提唱する「ユニファイド・コミュニケーション」は,とくに新しい話ではない。すでに,多くの競合ベンダーが同様のソリューションを提供している。ユニファイド・コミュニケーションは,電話や電子メール,FAXなど,さまざまなコミュニケーション手段を統合的に扱える環境を用意する。たとえば,一つのアプリケーション画面上で,電話の発着信やボイス・メールの再生,電子メールやIMの処理,テレビ会議への参加など,一連の操作を可能とする。そのときどきで,最適なコミュニケーション手段を選択できるのがポイントである。

 マイクロソフトは,電子メールやIMといったコミュニケーション手段を用意していたが,電話などはほかのベンダーのシステムに任せるというスタンスであった。しかし「ユーザーから『PCの作業と電話を組み合わせてほしい』という要望がある」(マイクロソフト インフォメーションワーカービジネス本部 マネージャ 越川 慎司氏)というように,やはり電話はコミュニケーションに不可欠。今回,その電話を積極的に取り込む戦略を打ち出した。併せて,Web会議機能も組み込む。OutlookなどのOffice製品から,電話,電子メール,IM,Web会議が統合的に利用できるようになる。

 「最終的には,ユーザーの利便性と,情報システム部の管理性を向上させることが,ユニファイド・コミュニケーションの目的」(マイクロソフトの越川氏)と語る。