「最新のモバイル技術で最も注目しているのは,燃料電池と省電力プロセサ」。「ノート・パソコンを使用していて感じる不満は,電池の保ち,重さ,耐衝撃性・耐水性」----。独自調査に回答してくれた438人の声から,このような傾向が浮かび上がってきました。この7月,Enterprise Platform/ITproの読者を対象に実施した「モバイル・コンピュータの新技術に関する調査」の結果から,エッセンスをお伝えしましょう。

期待の新技術と不満点は表と裏

 調査で際だったのは,「電力」に関する関心の高さでした。 まず調査では,注目している最新のモバイル技術を聞きました。一番票が集まったのが,「燃料電池などの新しいバッテリー技術」で49.3%(複数回答,以下同じ)と,半数近くの回答者が挙げました。2番目が「デュアルコアなどの省電力型プロセサ」で39.7%でした。いずれも,バッテリーによる長時間駆動を実現するための技術です。

 一方で聞いたのは,現在使っているモバイル・コンピュータに対する不満です。例えば携帯電話・PHSへの不満のトップは,「電池の寿命が短い」で49.8%。ノート・パソコンも,不満のトップは同じく「電池の寿命が短い」で62.7%。“期待の新技術”との裏返しと言えるでしょう。

 比較的電池の保ちが良いと言われているPHSの連続通話時間はスペック上5~6時間。携帯電話は機種にもよりますが,およそ2~3時間。メールやWebブラウザの利用を含めて考えると,やや心許ないような印象があります。ノート・パソコンでは10~15時間といった数値がスペックにあります。しかし実際には単体でその3分の2程度が目安ですし,通信が必要不可欠な現在では無線LANなどでも電力を消費するので,さらに短時間で電池は切れます。そんな現状に対する不安・不満が,回答に表れたと見てよいでしょう。アンケートの自由回答欄には,「いくら小型で軽く,性能が良くても,数時間しか使えないのであれば持ち歩けない。それではモバイル・コンピュータとは言えない」(30代,コンピュータ・システムの企画・開発職)といった厳しくも納得できる声が多数見られました。

 折しも近年,米AMDや米Intelなど各プロセサ・メーカーが掲げている開発テーマは省電力。バッテリー技術を見ると,燃料電池の実用化がかなり近くなってきたようです。プロセサの処理速度やハードディスクの容量と同様に「いくら改善されても満たされない」のが電池の保ちかもしれません。ですが,数年待てば,先ほど紹介したような不満の声は多少なりとも減ることでしょう。

 ほかにも調査では興味深い結果が見られました。ITproの姉妹サイト「Enterprise Platform 2006」では調査結果の詳報レポートを掲載しています。ご興味を持たれた方は,ぜひEnterprise Platformまでお越しいただければ幸いです。