Exchange Serverの管理者やOutlookのユーザーにとって,個人用フォルダ(.pstファイル)の管理は難しいものである。前回(Outlookの「.pstファイル」に関する注意点),前々回(Outlookの「.pstファイル」に関するよくある疑問に答える)に引き続き,今回も.pstファイルの取り扱いに関する注意点を紹介する。今回は特に,システム管理者向けの視点で注意点を取り上げる。

質問:.pstファイルには2Gバイトの制限があるそうですが,オフライン・ストレージ・ファイル(.ostファイル)にも同様の制限がありますか

 ある。.pstファイルと.ostファイルは同じアーキテクチャなので,必然的に制限も同じになる。Outlook 2002以前のバージョンと互換性のあるANSI形式の.pstファイルと.ostファイルの場合,ファイル・サイズの最大容量は約1.8Gバイトである。Outlook 2003は最大33Tバイトの.pstファイルと.ostファイルに対応しているが,デフォルトでの最大値は20Gバイトになっている。この新しいフォーマットは従来のものより柔軟で,Unicodeのデータに対応している。

質問:電子メールの添付ファイルとして送られてきた.pstファイルは,どのように開けばいいのですか

 Outlookは,.pstファイルを安全でない添付ファイルとみなしている。そのためユーザーは,添付された.pstファイルにOutlookからアクセスできない。どうしてもアクセスしたい場合は,安全でない添付ファイルのリストを変更する必要がある。詳しくはマイクロソフトのサポート技術情報「Microsoft Outlook で添付ファイルを開くことができない」を参考のこと。

質問:システム管理者がサーバーから一元的に.pstファイルを圧縮できるようなコマンド・ライン・ツールはありませんか

 マイクロソフトは,コマンド・ライン・ツールを使って.pstファイルを圧縮したり,削除したアイテムの分だけ.pstファイルを整理して容量を削減したりするツールを提供していない。ただし,もしパソコンがアイドル状態(スクリーン・セーバーも実行されていない状態)で,.pstファイルに整理できる領域が十分にある場合は,Outlook自身がバックグラウンドで圧縮作業を自動的に実行してくれる。マイクロソフトのサポート技術情報「How to compact the personal folders (.pst) files in Outlook 2002(Outlook 2002で個人用フォルダ(.pst)ファイルを圧縮する方法)」によると,ファイルが最後に圧縮されてから,新たに16Kバイト以上の圧縮可能な領域ができたときに,圧縮が実行されるそうだ。

 試しに,ディスク上の.pstファイルのサイズを調べた後に,Outlookのメッセージを大量に削除し,削除済みアイテムのフォルダを空にして,マシンから30分ほど席を外してみると面白いだろう。席に戻ってくるころには,ファイル・サイズが著しく縮小されているはずだ。Outlookが圧縮作業を行ったからだ。

 .pstファイルを圧縮するサード・パーティ製ツールもある。「PSTCompactor」「PSTCompress」が代表例である。これらのツールはOutlookのアイテムの内部にある添付ファイルを圧縮してZIPファイルを作成し,より多くの利用可能な空きスペースを作り出す。

質問:Exchange Serverのメールボックスを使うOutlook 2003ユーザーの.pstファイルのパスを一括して変更し,保存先をファイル・サーバーに変更したいのですが,どうすればよいでしょうか

 マイクロソフトのサポート技術情報「[OL2003] Outlook のアーカイブ .pst ファイルの場所を設定する方法」には,Outlookのプロファイル・ファイル(.prfファイル)を使って電子メールのプロファイル設定を一括して変更し,保存先のパスを変更する方法が記されている。しかし,保存先をネットワーク・ドライブにするのは懸命ではない。なぜなら.pstファイルをネットワーク・ドライブに置くのは,サポートされていない設定だからである。

 Outlookがネットワーク・ドライブを利用できないわけではない。しかし,接続速度が著しく低下するだけでなく,.pstファイルが壊れてしまう可能性が高いとマイクロソフトが警告しているのだ。詳しくはマイクロソフトのサポート技術情報「個人用フォルダファイルがLANまたはWANリンクでサポートされない」を参照してほしい。