
LANをトラブルなく運用するには,日々の管理が重要となる。こうした管理の土台となるのが,「LANにどんな機器がつながっていて,どんな状態で動いているのか」をあらかじめ正確に把握しておくことである。
LANにつながるパソコンやネットワーク機器のIPアドレスとMACアドレスを調べ,一覧表にしておけば,いざトラブルが起こったときに対処がしやすい。ルーターなどから定期的にトラフィック情報を入手してチェックしておけば,回線の増強計画も立てやすくなる。
LANにつながる機器の一覧は,pingやarpといったOSのネットワーク・コマンドを駆使して調べることも可能だ。しかし,趣味や勉強が目的でないなら,そんな手間のかかることはせず,便利なフリーソフトを使った方がよい。
MACアドレスからベンダー名を表示
LAN内のネットワーク機器の一覧を作成してくれるフリーソフトはたくさんあるが,とくに便利なのが「NetEnum」だ(図1)。IPアドレスやMACアドレスのほか,コンピュータ名やログイン・ユーザー名,OSのバージョンなどWindowsネットワークに関する情報も一緒に調べてくれる。
●図1 NetEnum |
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それだけではない。NetEnumの特筆すべき特徴は,「MACアドレスから製造ベンダー名を調べる」機能を備えている点だ。
誰かが勝手にルーターや無線LANのアクセス・ポイントを社内LANにつなぎ,複数のDHCPサーバーが存在することがトラブルの原因となるケースがよくある。こうしたトラブルを解決するとき,疑いのある機器のMACアドレスからベンダー名がすぐわかれば,悪さをしている機器を特定しやすくなる*。
LAN内の情報を調べるフリーソフトとしては,「NetBIOS Inspector」(NBI)というソフトも見逃せない(図2)。Windowsネットワークでやりとりされている情報を表示するソフトで,「コンピュータ一覧に相手が表示されない」,「表示されているのにつながらない」といったWindowsネットワークの定番トラブルを解決するときに役立つ。
●図2 「NetBIOS Inspector」(NBI) |
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SNMPマネージャで健康状態を監視
企業ネットワーク向けのルーターやLANスイッチの多くは,ネットワーク機器管理向けのプロトコルであるSNMP*に対応している。SNMPを使うと,例えば現在ルーターが処理しているトラフィック量やLANスイッチのポートの状態,VLANに関する情報など,LANにつながっているネットワーク機器から詳しい情報を入手できる。
SNMPを使ってネットワークを管理するには,SNMPマネージャというソフトが必要になる。Windows用でオススメのSNMPマネージャは,トゥワイズ・ラボの「TWSNMPマネージャ」だ(図3)。日本語版の本格的なSNMPマネージャという条件では,探した限りこのソフトしか見当たらない。
●図3 TWSNMPマネージャ |
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TWSNMPマネージャは,LAN内にあるネットワーク機器からSNMPで情報を引き出すという基本機能に加え,LAN内にある機器を探索して一覧を作る機能,トラフィック量などをグラフ表示する機能,トラブル発生時などに機器側から突発的に上がってくるTRAPを受信する機能など,市販のSNMPマネージャに匹敵するほど便利な機能を満載している。SNMP機器を持っているなら,ぜひ触ってみることをお勧めしたい。
構成図を描くソフトも無償で入手可能
トラブルに万全の体制で備えるには,LANにつながる機器の一覧表だけでなく,機器同士がどうつながっているかを示すネットワーク構成図もぜひ一緒に作っておきたい。機器がダウンしたときなど,その機器がどこにつながっているのかがすぐわかれば,素早くトラブル解決に向けて動き出せる。
ネットワーク構成図を描くためのフリーソフトの代表例が「Network Notepad」(図4)だ。標準で用意されているパソコンや各種ネットワーク機器のアイコンをマウスで画面上に配置し,各機器を線でつなぐといった簡単操作で構成図を作成できる。
●図4 Network Notepad |
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若干操作方法に癖があるので,使い始めのころは思った通りに図が描けずにイライラするかもしれない。しかし,慣れてくれば配布元のWebページに表示されているサンプル図面のようにどんな複雑なネットワーク構成図でも自在に描けるようになる。
メールでネットワーク構成図を伝える必要があるときは,Network Notepadのようなツールで描いた図を添付して送れればよい。ただし,メーリング・リストなどでは添付ファイルを受け付けてくれないケースもある。こういう場合は,ケイ線文字などテキストだけで構成図を作り,相手に伝える。ケイ線文字による作図は,テキスト・エディタを使うより下でネットワーク図を書くために便利なお薦めツールとして紹介している「罫子」などの専用ツールを使うと便利だ。
ネットワーク図を書くために便利なお薦めツール
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