Webに掲載可能な情報は、制止画だけではない。今や動画も日常的に接するWebメディアである。Windows MediaとFlashの2大勢力が拮抗する図式が明確になりつつあるが、両者の特徴は何か、今一度整理してみよう。

■再生時間で選ぶ

 Web向けの動画再生フォーマットは、再生する映像の長さによって選択するのが基本的な考え方だろう。例えばテレビ番組のように30分や1時間と継続するコンテンツやライブ映像では、Windows Mediaが適当だ。こちらは長いコンテンツを再生するために必要なサーバ側の仕組みがすべてコンポーネント化されて製品に組み込まれている。そのためWindowsサーバーの利用者ならすぐ活用できる。また、著作権情報やコンテンツ保護の機能も必要な時にすぐ取り入れられる。

 一方で数分のコンテンツをWebページに直接貼り付けて再生する使い方では、Flash Videoがおすすめだ。圧縮率が高いうえに画質も良い。広く普及しているFlash Player(高画質による再生はFlash Player 8以上が必要)があればFlashムービー同様再生出来る点も特徴である。ページに貼り付けるタイプの動画はアップルコンピュータのQuickTimeにシェアが集まっていたが、Flashムービー同様の使い勝手が可能なFlash Videoの登場により1年足らずのうち隅に追いやられてしまった。もちろんFlash Videoもライブ配信など長いコンテンツの配信は可能だが、プロフェッショナル用のメディアサーバーは相応のコストが必要となる。

■制作環境で選ぶ

 配信と再生の手軽さを考えるとFlash Videoの利点が多そうだが、動画作成環境という点を考慮した場合、一概に優劣を判断できない。Windows Mediaムービーの場合、Windows XPのユーザーならその編集環境は無償で手に入る。HDなどの高精密ビデオでない一般的な動画を作るので良いなら、Windows XP Service Pack 2に同梱のWindowsムービーメーカーを使えばいい。ビデオ撮影したセミナーの様子などを配信する程度なら十分である。Windows Mediaへの書き出しもこれ1つで可能だ。

 一方のFlash Videoの場合、書き出しにはFlash8に付属か、サードパーティーが提供しているエンコーダーが必要である。また、動画素材は別途ビデオ編集ツールを用意しなければならない。つまり、それなりにツールの準備が必要になるというわけだ。しかしながら編集環境さえ用意できれば、Flash8上で人物インタビューの背景を任意の写真に差し替えたり、手軽にインターフェースのスキンを変更したりという工夫ができる。凝った演出を最低限の手間で実現したいならかかるコストも無駄ではないだろう。

 もう1つの違いとしては、Windows Mediaが音声だけの配信にも対応しているのに対し、Flash Videoで音のみの配信はできない点が上げられる。

 では選択の目安にできそうなまとめを。

・制作側もユーザー側もWindows環境が中心で、演出の不要な動画を流すのならWindows Mediaを
・魅力的なクリップを再生環境を問わずページに貼り付けて提供するならFlash Videoを

 といったところだ。

Windows Media関連情報
http://www.microsoft.com/japan/windows/windowsmedia/default.mspx

Flash Video関連情報
http://www.adobe.com/jp/products/flash/flashpro/video/
ちなみに昨今話題のYouTubeはFlash Videoを採用している

Flash8を含むアドビシステムズのパッケージ製品