NTTのNGN構築が一つのマイルストーンを迎えた。トライアルのネットワークで使うインタフェース仕様を公開したのだ(関連記事)。トライアルの開始は12月だが,インタフェース公開が,トライアル参加申し込みの開始である。ビジネスとしてのNGNがこれで始まると言っても過言ではない。

 発表されたインタフェースは大きく分けて3種。他の通信事業者と接続するNNI(network-network interface)とユーザーの端末を接続するUNI(user-network interface),ASPと接続するSNI(application server-network interface)だ。このうちSNIは今回の発表以前はANI(application to network interface)と呼ばれていた。

 この中で筆者が最も注目をしていたのがSNI(旧ANI)。なぜならば,これこそがNGNがこれまでの通信事業者のネットワークと一番異なる部分だからだ。

 NGNは帯域制御など従来のインターネットではできなかったさまざまな機能を持つ。例えばプレゼンスなど,NGNの中核技術であるIMSの標準機能に含まれている。NTTはこれまで著作権管理といった機能も提供することをほのめかしている。SNIはこれらの機能をアプリケーションから利用するためのインタフェースである。NGNならではのアプリケーションがこれから登場するかどうかの肝なのだ。

 しかし,公表された資料を見る限り,パケットの優先度合いを指定するパラメータを除くと,NGNらしい機能を利用する方法はほとんど見当たらなかった。提供されると言われていた回線認証も,筆者の読み込み不足かもしれないが,どうやってやるのか分からなかった。

 一つ気になったのは以下のような記述だ。

IMSモデル(ITU-T標準ベース)ではANI(アプリケーション・ネットワーク・インタフェース)として、メディアストリームを終端しないParlay等による形態が想定されているが、現時点ではParlay等の実装例が少ないため、アプリケーションサーバにSIP B2BUAを適用し、メディアストリームを終端しない通信形態を提供することを前提に、今後、実現方式の検討を行う。

 ParlayというのはParlay Groupという業界団体が策定している通信サービスを利用するためのAPI。Javaを使うParlayやWebサービスのParlay XというAPIがあり,筆者はParlay XがNGNのAPIの本命ではないかと想像していた。どうやらその辺りは,今後の課題ということになったのだろうか。進展したと同時に謎も深まるNGNである。