Web向け画像のスタンダードといえばGIFとJPEGである。8bit形式で256色のを保持できるGIFは、小サイズかつ色数の少ない画像では最も圧縮効率が良い。そのため、サイトIDやボタンなどの視覚要素作りで頻繁に用いられる。一方商品写真など豊富な色数が必要な要素には、JPEGの利用が適している。

■マルチユースできないのが欠点

 たくさんの画像編集ツールが高い圧縮率で書き出すことの可能なJPEGだが、不可逆圧縮データであるという痛い欠点も抱えている。画像の質を間引くことでファイルサイズを小さくするJPEGは、上書き保存するたびに圧縮が繰り返されて画質は下がっていく。そのためいったんJPEG化したデータは、サイズを変更して再利用するという使い方がしにくい。色を間引いてファイルサイズを軽減するGIFも、一度GIF化してしまうと間引いた色は元に戻らない。

 こうしたことから、制作現場では画像編集ツールのネーティブファイルかTIFFのように汎用性のある形式で画像を保持しておき、ウェブ用にはそれぞれの形式に書き出す方法を採るのが一般的だ。しかしTIFFやBMP形式で写真画像を保存すると、ファイルサイズは大きくなる。メール経由での受け渡しやサーバに元画像を蓄積する予定のある画像は、画像を劣化させずにコンパクト化できるPNG形式がおすすめである。元データは常にPNGで保持し、ウェブ向けには汎用性を考えてGIFかJPEGに書き出すフローとなる。  将来的には元データもページ掲載用データも汎用性の高いPNGに一本化という可能性も視野に入れられる。

■JPEGには次世代版も

 GIFは1987年に登場して以来、技術的な改良などはなされていない。そのせいか、活用の仕方も目新しいものはない。しかしJPEGに関しては、JPEG 2000(じぇーぺくにせん)というフォーマットが6年前、国際規格に制定されている【図1】。

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 こちらはJPEGの特徴である、圧縮時の滲みを軽減した形式だ。画質が良いことに加え、圧縮率も向上している。また複数の圧縮状態を1つのデータ内に保持できるので、元データから小さいファイルサイズのバージョンを書き出すことも可能だという。

 また、メタデータを保持する領域を持つので、著作権情報や電子透かしなどの情報を個々の画像に添付できる。この機能を使えば画像をシステムが選別可能になるので、インターネット上で任意の画像を取り出すような仕組みには対応しやすくなる。

 しかしながら、JPEG 2000の表示に対応したブラウザは今のところ無く、表示には専用のビューワーを用いるしかない。firefoxなどMozilla系のブラウザで実装の可能性が探られているようではある。

 資料としてイメージライブラリを作成する際などでは、専用ビューワーの配布さえ可能なら利用する価値はあるだろう。