必要最小限のディレクトリで構成


表2 FHSで標準化されているファイル・システム
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表3 自分Linuxのファイル・システム
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図3 ディレクトリ構成
自分Linuxのルート・ファイル・システムのディレクトリ構成である。

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 次に,ファイル・システム内に作成するディレクトリを決定する。Linuxや有償UNIXなどのUNIX系OSの場合,基本的に存在しなければならないディレクトリがある程度決められている。特に,Linuxには,Linuxディストリビューション間の差異を極力なくす目的で作られた標準仕様の開発ガイドライン「Linux Standard Base(LSB)」(http://www.linuxbase.org/)があり,LSBの一部である「FHS(Filesystem Hierarchy Standard)」(http://www.pathname.com/fhs/)には,システム・プログラムやディレクトリ構成などの標準仕様が盛り込まれている。このFHSに準拠する場合には表2[表示]に示したディレクトリが必要になる。

 Linuxディストリビューションを作成する際には,本来FHSに準拠すべきだ。しかし,自分Linuxでは利用しないディレクトリがいくつかあり,それらディレクトリを作成しない方が解説がスムーズに進む。そこで,自分Linuxでは表3[表示]のように,FHSで定められているディレクトリよりも3つ少ない構成を採ることにした。

 なお,/procディレクトリは特殊なものであるため,別掲記事「/procファイル・システム」にまとめたので参照していただきたい。

1つのパーティションで構成

 UNIX系OSでは,ディレクトリを(ディテレクトリ単位で)異なるパーティションに配置できる。ディレクトリごとにパーティションを分けておけば,ディスク容量の管理が容易になる。例えば,別のディレクトリ内のファイルが肥大化したために,目的のディレクトリ内にファイルが作成できなくなるなどの障害発生を避けられる。

 自分Linuxでは,パーティション・サイズが最大256Mバイトと小さいため,1つのパーティション上にすべてのディレクトリを作成する。

 もしパーティションで分けたい場合には,1点だけ注意していただきたい。「/etc」「/bin」「/sbin」「/dev」「/lib」の5つを別々のパーティションに分けてしまうと,Linuxが起動できなくなる。

実際の作業

 それでは,今まで決めた自分Linuxの仕様に基づいて,ファイル・システムを作成しよう。表3のディレクトリを自分Linux作業用ディレクトリ(/usr/local/src/origlinux)内に作成する(図3[表示])。

 さらに各ディレクトリ内に必要なサブディレクトリも作成する。