ネットユーザーが検索するワードの中には「就職したい」「資格取りたい」「車欲しい」……等といったキーワードが見受けられる。この場合の検索ユーザーは、単純に「~したい」という表現を含むページを探しているのではなく、自らの欲求を検索窓に打ち込んでいるのだと推測される。自分はそのようなキーワードを「欲求系キーワード」と呼ぶことにしている。

 もちろん、このようなキーワードは検索絶対数が多いわけではない。しかし、一部のキーワードにおいては、リンクするサイトの資料請求や会員登録につながることがあり、業界によってはコンバージョンレートが他のコンバージョンキーワードの平均より高かったりすることがあるので、ないがしろにすることは出来ない。しかも、特殊なワードのため、広告出稿においても競合がなく、低単価での入札が可能であり、かつ費用対効果も高いため、実は超重要キーワードが潜んでいる可能性が高い。

 検索連動型広告の出稿における基本は、そのキーワードを打ち込む検索ユーザーの心を見ることである。もちろんキーワードだけで考えても何も見えてこないので、場合によって、そのキーワードの検索結果に表示されるサイトを数多く見ることから始めることがある。要は逆引きによるユーザー心理の把握である。うまくいけば、サイトの概要やリンクしているページの訴求点を理解することで、検索ユーザーの期待するポイントが見えてくる。そうなれば、広告出稿するキーワードに連動させる広告文(タイトルとディスクリプション)の内容やリンク先URL(ランディングページ)の選定は容易になるであろう。

 今回の欲求系キーワードの場合は、リンク先サイトに欲求を満たす手段・方法を導き出す内容があることを訴求した広告文面とし、その内容に合致したページへしっかりリンクさせる事が大切である。それが実現できればクリック率及びコンバージョン数は大きく変わってくるはずである。さらに、広告出稿しているキーワードのカテゴリーには「欲求系」というジャンルを追加して管理することで、新たな欲求系キーワードの発見を促し、これまでのキーワード群に付加することで競合との差を付けることが可能である。

 欲求系キーワードとは、人の素直な気持ちを単純に、しかし明確に表現している心の掲示板である。今後はその欲求系キーワードをいかに有効活用するか、というところも考えていくことが重要であろう。


(アウンコンサルティング コンサルティンググループ 渡辺明)







 本コラムは、アウンコンサルティングのサイト 「(((SEM-ch))) 検索エンジンマーケティング情報チャンネル」に連載中の「SEM特撰コラム」を再録したものです。同サイトでは、SEOや検索連動型広告など検索エンジンマーケティング(SEM)に関する詳しい情報を掲載しています。