無線ICタグを店舗運営に利用している未来型のスーパーマーケットのこと。ドイツのラインベルク市に店舗があり、独大手小売業メトログループが運営している。

 この店舗におけるICタグの利用法の一つは、在庫切れの防止である。シャンプーやかみそりの個品にICタグを付け、商品を載せる棚にはリーダー/ライターを設置している。リーダーは商品の個数を常時監視しており、一定数を下回ると「在庫補充が必要」というアラートを出す。大量の商品が同時に棚からなくなった場合は、万引きの疑いがあると判断して、その旨のアラートを出す、といった機能もある。

 顧客への情報提供にもICタグを使っている。顧客がCDやDVDに取り付けられたICタグを店舗内に設置したリーダーにかざすと、CDを試聴できたりDVDのプロモーションビデオを閲覧したりできる。

 ICタグを使うのは店舗内だけではない。商品の入荷時にICタグを読み取って、注文数と同じ数の商品があるかどうか検品する作業や、倉庫内の在庫棚卸しにも使っている。

 日本でも、日本版フューチャストアの設立プロジェクトが始まっている。2005年6月に経済産業省が中心となって「フューチャーストア推進フォーラム」を立ち上げ、フューチャストアの実現に向けた技術やビジネスモデルを検討している。2005年11月~2006年3月には、三越や丸井、ファミリーマート、イオン、クイーンズ伊勢丹などが実証実験を行った

 また、昭和図書が2005年10月に開店した書店「ブックハウス神保町」では、書籍にICタグを取り付けて管理する「フューチャーブックストア」の実験も進められている。

関連キーワード●シュリンケージ、トレーサビリティシステム




本記事は2005年12月26日発行のムック「無線ICタグ活用のすべて」(詳細はこちら!)の記事を基に再編集したものです。