図1●PCのUSBポートに差した「USB温度計 開発キット」
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図2●付属のWindowsアプリケーションで計測中の画面。上のダイアログは,オプション設定用
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図3●付属のLinux用コマンドを実行した画面。上段はUSBデバイス情報
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 最近,様々なUSB機器が売られるようになった。活線挿抜でき,手軽に使えるUSB機器は便利である。USB機器の多くは,ハードディスクやUSBメモリーといったストレージ,プリンタやイメージ・スキャナなど,いわゆるコンピュータの周辺機器だが,遊び心をくすぐる機器もある。メディアラボの「USB温度計 開発キット」である(図1)。

 この製品は,USBコントローラ「EZ-USB FX2」と温度センサー「LM95071」を使用したUSB機器。WindowsまたはLinuxで,温度を計測できる。ファームウエアと,温度計測アプリケーションのソース・コードも付属する。これらのソース・コードを改変すれば,いろいろと遊べそうだ。

 Windows用の温度計測アプリケーションは,指定した時間間隔(デフォルトで1秒)ごとに温度を計測し,グラフを描画するものである(図2)。計測データをファイルに出力する機能も備えている。

 一方,Linux向けのアプリケーションは,そのときの温度を標準出力に出力するコマンドである。こちらは連続計測はせず,コマンドを実行したらそのときの温度を返すだけである。連続してデータを取るには,このコマンドを定期的に繰り返し実行するようなシェル・スクリプトなどを記述する必要がある。このコマンドのソース・コードを,繰り返し実行するよう改変しても良いだろう。ちなみにUSBデバイス情報を見ると,マウスやキーボードなどユーザー・インターフェース担当の周辺機器を意味するHID(ヒューマン・インターフェース・デバイス)となっていた(図3)。

 本デバイスに使われている温度センサー「LM95071」は,基板にハンダ付けされている。そのため,計測されるのは,PCのUSBポート付近(正確にはLM95071のピン)の温度になる。動作中は周辺ICの温度が上昇するし,マザー・ボードの熱もUSBポートを通じて伝わる。計測される温度は周辺の気温よりも高くなるだろう。そういう点では,厳密な計測には使えないかもしれない。

 ただ,手軽に計測デバイスの制御を体験できる。最近は有償/フリーを問わず,様々なソフトウエアが手に入るので,自分でプログラムを組む機会が減っているユーザーも多くなっているのではないだろうか。「USB温度計 開発キット」は,「プログラムを作ってみようかな」という気にさせる製品だ。欲を言えば,パーツのハンダ付けまで自分でできれば,もっと楽しめるかもしれない。この製品に使われているパーツは表面実装用でICのピン間隔が狭く,そのままだとハンダごてによるハンダ付けは非常に難しそうだが。