最大の財産は人材という考えから、売り上げの4%近くを人材の教育費に投入する。世界各国で事業を展開しているが、各国共通の教育研修プログラムを導入している。


アクセンチュア 代表取締役社長 程近智氏

──最近、アクセンチュア出身者が他社で活躍しているケースをよく見ます。

 日本国内には2500人くらいが在籍していますが、新卒者も中途も積極的に採用しています。当社でキャリアアップを図りたいと考える人が増えているようですね。実際、当社に入社してスキルを磨いてからメーカーのマーケティング部門やシステム部門に転職する人もいます。その一方で、さらに自分を高めたいと再び当社に入社してくる「出戻り組」もいますよ。

 当社には、コンサルティング、システムインテグレーション、アウトソーシングという3つのサービスがあり、いずれも付加価値が高いという特徴があります。それぞれのサービスを別個に提供しているのではなく、企業変革という点で密接に関係しています。例えば、アウトソーシングを通して、「在庫が負担になっている」とか「過剰な在庫を抱える生産方法に問題がある」という課題を発見し、解決策を顧客に提案できます。これがコンサルティングの強みです。

 また、システムインテグレーションに関しては世界のアクセンチュアのネットワークの活用により、ビジネスの効率化が可能となるのも大きな特徴ですね。アクセンチュアでは世界で13万人が働いていますが、そのうちの5 ~ 6 万人がインドを中心にしたオフショア開発の部隊です。最近では、それぞれの開発拠点で特定分野についてのスキルが向上しています。「Javaに関する開発力が最もあるのはこの国だ」といった具合に、世界 でも最も開発力がある開発拠点のスキルをフルに活用することができるのです。


──ITに関する知識はもちろん、業務や経営の視点で物事を考えるということが重要になりますね。

 当社の仕事では、業務上や経営上の課題を解決することに念頭を置いておく必要があります。アウトソーシングと同様、システムインテグレーションに関しても、顧客からの要望は「この部分の設計と開発をやってほしい」という単純なものではなく、SCM(サプライ・チェーン管理)やCRM(顧客関係管理)、ガバナンスの改革に取り組みたいといった経営課題を解決するものです。

 業務や経営の視点に加え、コミュニケーション能力も不可欠です。世界各国にいる5 ~ 6 万人の開発部隊と頻繁にコミュニケーションを図る必要があるからです。各国の開発拠点を活用し、自分の力にしていくという気概がある人にはふさわしい職場だと思います。


■当社の最大の財産は人材
売り上げの4%近くを教育費に

──業務や経営の視点で仕事に取り組むことが魅力で転職する人が多いのでしょうか。

アクセンチュア 代表取締役社長 程近智氏

 業務や経営とITシステムがどう関連しているのかを知りたい、勉強したいという人は多いです。「今後もシステム開発の仕事を続けたいが、もう少し上流工程を経験しておきたい」という大局観を持っています。また、当社だと業務改革や経営改革の一環としてプロジェクトに参画できるので、スケールが大きい仕事をやりたいという人も多いですね。

 その一方で、最先端の技術にいち早く触れられるという理由で当社に転職する人も少なくありません。ITは米国を中心とした海外で新しい潮流が生まれる。当社では世界の有力ITベンダーやソフト会社と親密な関係にあるので、それらにいち早く触れられます。

──転職者に対する期待は随分と高いですね。

 当社の最大の財産は人材ですから、売り上げの4%近くを人材の教育費にあてています。アクセンチュアでは、世界各国で標準化された手法を採用し、教育研修プログラムも共通です。この一貫した研修プログラムにより、当社で活躍するのに必要な基礎を学べます。

 また、多様なキャリアパスに対応したプログラムがあることも大きな特徴です。プロジェクトマネジャーになりたい人、技術を究めたい人、業務や戦略的な仕事をしたい人などキャリアパスは様々ですが、それらにきめ細かく対応できるように豊富なプログラムを用意しています。

 プロフェッショナルとして一人ひとりが専門性を持つことが重要ですが、部門や専門分野の転向希望があれば、適性やビジネスプランを考慮しながら、できる限り本人のキャリアプランをサポートします。それから大切なのはチームワーク。サッカーと同じで、プロ同士の技の引き立て合いが得点に結び付く。そういう姿勢で仕事に臨んでほしいですね。

 キャリアを形成しようと思う人やプロフェッショナルを志す人にとって、当社の環境は適していると思います。アクセンチュアにはその気概に応えるだけの柔軟性があります。


程近智(ほど・ちかとも)氏
1960年7月生まれ。82年米スタンフォード大学工学部を卒業し,アクセンチュアに入社。91年に米コロンビア大学経営大学院でMBAを取得。95年にパートナーに就任。03年に通信・ハイテク本部統括本部長。06年4月に代表取締役社長に就任。