「メイドさんが『Firefox』を配るから取材しろ」

 先輩記者の指令を受けて,記者は7月8日,蒸し暑い土曜日にもかかわらず秋葉原へと足を運びました。記者にとって秋葉原は1990年代中盤から足しげく通ったなじみの街です。ただ,この2~3年は個人的にコンピュータをあまり買わなくなったこともあり,秋葉原に行く機会がほとんどありませんでした。8日は本当に久しぶりの秋葉原散策になりました。

 そして,噂に聞いていたとは言え,その変容ぶりに驚きました。まず最近建った秋葉原UDXやヨドバシカメラ秋葉原店のビルにも少し驚きましたが,それ以上に驚愕(きょうがく)したのはJR秋葉原駅前の光景です。

 メイド姿の女性が5~6人もいます。さらにチャイナ・ドレスやナース服に身を包む女性もいます。JR秋葉原駅前は昔からいろいろなキャンペーンが行われる場所として有名でしたが,こうもメイド服などのコスプレ女性一色だと,かつての光景とは明らかに雰囲気が異なります。

 しかし,その後にもっと驚いたことがありました。UNIXマシンやネットワーク機器の販売で有名だった某コンピュータ・ショップがなくなり,その跡がメイド・カフェとメイド・フット・マッサージ店になっているではありませんか。秋葉原の産業構造が大きく変容しているのだなと実感しました。

 メイド服の女性に対してしきりにシャッターを切る外国人観光客の姿も印象的です。彼女たちは重要な観光資源になっているようです。将来,日本国はハイテク製品だけではなく,“メイド”などの文化製品で外貨を稼ぐことができるでしょうか。記者はNHKのドキュメンタリー番組「電子立国日本の自叙伝」に胸を熱くした世代なのですが,秋葉原でメイド姿の女性を見ながら「メイド立国ニッポン」というフレーズが思わず頭をよぎりました。