米国のチケット販売サイトには待ち行列がある。アメリカン・フットボールのあるチームのゲームには30年の待ちのものもあるし,10万人が行列に並んでいるチームのゲームもある。あるワイナリの販売サイトでは,通常小売価格が1本380ドルのワインを180ドルで購入する待ち行列があった。

 そこで,待ち行列の順番を売買する仕組み「SuperOyster」が,間もなく登場する(図1)。既に待ち行列に入っているユーザーが,それが不要になったら,SuperOysterの仕組みを使ってその順番を売ることができる(図2)。


図1●待ち行列の順番を買う画面の例。2番目の順番が411ドルで販売されている。300ドルで購入したい場合,300ドルでビッドして,既に行列に並んでいる人の中からだれか300ドルで売ってくれる人を探すこともできる。テスト用の架空のもの
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図2●順番を売るには何番目がいくらで売られているかを確認して自分の順番をビッドできる。テスト用の架空のもの
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 SuperOysterの「Oyster」は,牡蠣の中にある真珠を入手困難なものとして表現し,すばらしい「真珠」を手に入れられるという意味があるそうだ。

 待ち行列の順番を売買すると,待ち行列に入っているほかのユーザーが怒らないかと危惧を抱くユーザーがいるかもしれない。順番を購入して行列の前の方に移動したユーザーは,既存の順番を購入するのであり,順番に割り込むのではなく,それ以外の待ち行列は変化がない,と同社は説明している。

 SuperOysterのサービスは,既に待ち行列の仕組みを持っている販売サイトが利用するもので,プロスポーツ・チーム,小売業,自動車販売,ワイナリ,不動産業などが対象である(図3,4)。同社によると,現在,米NFLの各チームと個別にSuperOysterの採用を交渉しているという。


図3●フットボール・チームの既存サイトにSuperOysterを組み込んだ例。テスト用の架空のもの
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図4●ハウス・ボートの販売サイトの例。テスト用の架空のもの
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 SuperOysterのテスト版(alpha version)はWebサイトにあるが,注意書きを参照する必要がある。

 eBayでもチケットが売買されているが,これは個人間の取引である。SuperOysterでは,チケット販売サイトと直接トランザクションをやり取りする。消費者が購入したチケットは,チケット販売サイトが保証するという大きなメリットがある。