今週から,Java bindings for OpenGL(JOGL)を使用して3D CGを描いていきますが,その準備としてJOGLをインストールする必要があります。
JOGLの仕様はJSR-231で策定されています。リファレンス・インプリメンテーションはjava.netのJOGLプロジェクトで開発されています。2006年7月上旬時点でのバージョンは1.0 beta 5です。
JOGLがサポートしているプラットフォームを以下に示します。
- Windows(x86)
- Solaris(SPARC32/64,x86,AMD64)
- Linux(x86,AMD64)
- Mac OS X(PPC,x86)
JOGLはJ2SE 1.4以上で使用できます。
ここではWindows XP版を使用してJOGLをインストールしていきます。
JOGLのダウンロード
図1 JOGLのダウンロード |
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JOGLのダウンロードはjava.netのJOGLプロジェクトのページから行います。
プロジェクト・ページの右側には,図1に示したようにDownloadsという囲みがあります。その中のCurrent release build(JSR-231 beta 5)のリンクをクリックします(カッコの中のバージョンは現在の最新バージョンを示しています)。
すると,ダウンロードのページが表示されます。
JOGLは,Javaで記述されている部分と,プラットフォームに合わせたネイティブコードの部分に分かれています。
前者がjogl.jarファイルになります。
後者はjogl-natives-[OS]-[CPU].jarという形式のファイルになるので,お使いのOSとCPUに合わせたものを選択してください。例えば,OSがWindows,CPUがx86の場合は,jogl-natives-windows-i586.jarになります。
これら二つのファイルをクリックしてダウンロードしてください。
JOGLのインストール
次に,ダウンロードした二つのファイル,jogl.jarとjogl-natives-windows-i586.jarを使用して,JOGLをインストールしましょう。
ここでは,JDKをインストールしたディレクトリを[JDK_HOME]として表します。また,ダウンロードしたJARファイルはC:\tempディレクトリにあるとします。
まずは,jogl.jarです。jogl.jarはJavaのクラスファイルだけなので,[JDK_HOME]\jre\lib\extにコピーします。
jogl-natives-windows-i586.jarにはDLLファイルが含まれているので,まずJARファイルを展開します。
C:\temp>jar xvf jogl-natives-windows-i586.jar META-INF/MANIFEST.MF が展開されました。 META-INF/SUN_MICR.SF が展開されました。 META-INF/SUN_MICR.RSA が展開されました。 META-INF/ が作成されました。 jogl.dll が展開されました。 jogl_awt.dll が展開されました。 jogl_cg.dll が展開されました。 C:\temp>
展開された三つのDLLファイル(jogl.dll,jogl_awt.dll,jogl_cg.dll)をパスが通っているディレクトリにコピーします。ここでは[JDK_HOME]\jre\binにコピーしました。
これでインストールはできました。
デモプログラムの実行
インストールができたら,試しにJOGLのデモ・プログラムをダウンロードして,実行させてみましょう。
先ほどと同じように,java.netのJOGLのダウンロード・ページから,jogl-demos.jar,jogl-demos-data.jar,jogl-demos-util.jarの三つのJARファイルをダウンロードします。
ダウンロードができたら,さっそく実行してみましょう。jogl-demos.jarの中には20以上のデモ・プログラムが入っています。その中の主だったものを実行してみます。
まずは,最も基本的なGearsからいきましょう。
C:\temp>java -cp jogl-demos.jar demos.gears.Gears
JOGLが正しくインストールされていれば,図2のように赤,青,緑の歯車が回転するはずです。
図2 Gearsの実行結果 |
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マウスでドラッグすると,視点を変更できます。
もう一つ,サンプルを実行してみましょう。こんどはHDRというサンプルです。
C:\temp>java -cp jogl-demos.jar;jogl-demos-data.jar; jogl-demos-util.jar demos.hdr.HDR
表示の関係上,2行になってしまっていますが,実際は1行です。
このサンプルもマウスでドラッグすることで,視点を変更できます。
他のサンプルも試してみましょう。jogl-demos.jarを展開してみれば,どのようなサンプルが含まれているかわかるので,一つずつ試してみてください。
中には,GPUなどの要件により動かないものがあるかもしれません。なるべく新しいGPUを使用するほうがいいのですが,なかなかそういうわけにもいかないですね。本解説で使用するのはOpenGLの基本の部分だけなので,OpenGLをサポートしているプラットフォームであればほぼ動くはずです。
さて,これで準備が整いました。来週からはJOGLを使ったプログラミングを体験してみましょう。
著者紹介 櫻庭祐一 横河電機の研究部門に勤務。同氏のJavaプログラマ向け情報ページ「Java in the Box」はあまりに有名 |