IT関連の仕事をしているのなら,「X社の上級副社長が6カ月前に作った文書ファイルを探している。それも大急ぎでだ!」といった悩ましい電話を受けたことが必ずあるだろう。毎回これほどストレスが多いとは限らないが,企業内のデータ検索に悩んでいる人はとても多い。こういった現状をふまえて,米Googleは4月に「Google OneBox for Enterprise」という検索アプライアンスをリリースした。そして先日,同アプライアンスに米Kazeonのストレージ管理機能を統合できるようになった。

 「Google OneBox for Enterprise」は,「Google Search Appliance」の大企業版であり,米Cisco Systemsや米Cognos,米Employease,米NetSuite,米Oracle,米Salesforce.com,米SASといった他社の業務アプリケーションが抱え込むデータも検索できるアプライアンス・サーバーになっている。価格は3万ドルからだが,優れた検索ツールを切望している企業にとって,この価格は問題にならないだろう。

 ストレージ情報管理製品ベンダーである米Kazeonは先日,Googleとの提携から生まれた最初の成果を発表した。つまり,企業情報を検索しインデックス化するKazeonの「IS1200 Server」と,Google OneBox for Enterpriseを統合できるようにしたのだ。IS1200 ServerをGoogleアプライアンスに追加するのには,かなりの費用がかかる。KazeonアプライアンスをGoogle OneBox for Enterpriseに追加するためには,別途4万ドルが必要になる。

 Kazeonの製品は非常に高価だが,Google Enterprise Patner Program担当ManagerであるKevin Smith氏によると,KazeonのIS1200 Serverを使うと,アーカイブ・データやバックアップ・データなど,Google OneBoxが対応していないファイル形式も検索できるようになるという。

 Kazeonは370種類以上のファイル形式を認識し,インデックス化できる。Kazeonは,zipフォーマット,Windows/UNIX/Linux ServerのEメール・コンテナ,NASアプライアンス,EMC Centeraストレージ装置などが含まれる。ストレージ・ハードウエアなどにも対応している。こうした機能が,Google OneBoxの検索/インデックス化機能に追加されるのだ。

 Google OneBoxには,数多くのBI(ビジネス・インテリジェンス)製品やERP製品,CRM製品のデータについて,リアルタイムでレポートを作成する機能が含まれていることが,先日発表された。Kazeonによれば,Google OneBoxとKazeon製品を組み合わせれば,ユーザーが重要なデータを簡単に取り出したり,文書保存に関する規制などをを遵守したりできるようになるという。

 この統合製品が提供する強みの1つに,シンプルなWebインターフェースがある。このWebインターフェースでは,ユーザーは慣れ親しんだGoogle式のインターフェースかKazeon式のインターフェースのどちらかを選んで,検索を実行できる。どちらのインターフェースを使っても,KazeonとGoogleのアプライアンス両方で検索が実行され,ユーザーはこれら2つのアプライアンスの検索結果を1つのインターフェースで閲覧できる。この統合製品があれば,企業ユーザーは,巨大な企業組織のあちこちに分散して保存されている何百万ものファイルから,関連データを瞬時に見つけ出せるだろう。