これまでXMLデータに注目し,アップルコンピュータのトップテンソングデータを例にして,XMLの文法や名前空間を解説してきた。そして連載の第1回で紹介したサンプル・ファイルは,XMLデータであるトップテンソングデータに対するスタイルシートを2つ用意することによって,一覧表示と詳細表示を切り替えるものだった。今回はそのサンプル・ファイルで使用しているXSLTスタイルシートについて解説する。

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■ XSLT変換とは

 XSLT変換は,XMLデータに対応したスタイルシートを作成することによって,変換結果としてHTML,異なる構造のXML,あるいはCSVなどのテキストを得るものである。サンプル・ファイルで実行しているように,基のXMLデータが1つでも,2つのスタイルシートを用意することによって,異なる2つの出力を得ることができる。またこの場合,データとスタイルを完全に分離しているため,データの更新とスタイルの更新を分けて作業できる。実際,スタイルの設定とは関係なくアップルコンピュータのトップテンソングデータは毎日更新されているし,必要であればいつでもサンプル・ファイルのスタイルを変更できる。

 XSLTスタイルシートは,XMLから必要なデータを抽出していくような作成方法となる。サンプル・ファイルでは,この違いによって一覧表示と詳細表示を切り替えているが,これをビジネス・データに応用すると,次のような利用が考えられる。

 例えばある会社の製品データがXML形式で扱われていたとしよう。そこには原価コストなどの公開できないデータが含まれているとする。このような場合,XSLT変換を利用して基のXMLデータから公開可能な必要なデータだけを抽出することができる。XSLT変換ではスタイルシートでデータの抽出に対応できるため,抽出データの変更などに容易に対応できる。あるいは基の製品データにおいて,項目(要素)ごとに公開可能または非公開などのマークを付ける(例えば要素項目に対して「data="public"」や「data="confidential"」などの属性を付与する)ことによって,スタイルシートの方でデータの公開可否を識別させるようなこともできる。