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 前編では,2005年夏に日経NETWORKが実施したトラブル・アンケート調査の結果から,ネットワーク・トラブルの全体的な傾向と,トラブルが発覚した現象ごとに見たトラブル原因の割合まで見てきた。後編ではまず,トラブルの原因を軸に,そのトラブルを特定するのに有効だった手段を聞いた結果をまとめたものを見てみよう(図3)。

図3 トラブルの原因ごとに,有効な発見方法が異なる [画像のクリックで拡大表示]

 (a)「LANスイッチやリピータ・ハブの故障」や(b)「ネットワーク機器の熱暴走やフリーズ」というトラブル原因の場合,その原因を特定した方法として回答が多かったのは,「目視での直接確認」,「pingピングなどのコマンド」,「ケーブルの抜き挿し」,「LEDランプの確認」の四つ。(a)と(b)の原因で発生しているトラブルには,この4種類の特定方法が有効だとわかる。

 また,(c)と(d)からは,ネットワーク機器や端末の設定ミスの場合は,「pingなどのコマンド」と「設定の確認」が役立つことがわかる。さらに(e)では,「ベンダーへの問い合わせ」や「ベンダーのサイトの確認」という手段が効果的だという結果になった。

■1400件の事例から解決チャートを作成

 ここまで見てきたアンケート結果に基づいて,トラブルの症状ごとの解決法がひと目でわかるチャートを作成した。言わば,「日経NETWORK流トラブル解決チャート」である。

図4 日経NETWORK流トラブル解決チャート  [画像のクリックで拡大表示]

 使い方は極めて簡単だ。まず上のところを見て,最初にどのような現象があったかを確認する。次に,その矢印の先をたどり,その現象を引き起こした可能性が高い原因を調べる(ステップ1)。ここには,アンケート結果から,現象別に回答数が多かったトラブル原因の上位5番目までを載せている。

 さらに左側に並ぶトラブル原因から線を右側にたどると,それぞれの原因を特定するのに有効だった手段が示してある(ステップ2)。あとは,それらの手段を試して原因を絞り込んでいけばよい(ステップ3)。

 こうした方法は,トラブル対処の正攻法から外れると感じる読者がいるかもしれない。しかし,実際は,初めから丁寧にトラブル原因を切り分けていくケースは少ないだろう。切り分け方の基本を念頭に置きながらも,経験や知識に基づいて原因を推定し,確認していくパターンが多いに違いない。

 それならば,多数の経験に裏づけられた指針を参考にすることで,トラブル原因に素早くたどり着けるはず。約1400件の事例から作り上げたトラブル解決チャートが心強い味方になる。

 もちろん,このチャートは経験則なので,これにあてはまらない事例もあるだろう。そのような場合には,「レイヤーの低いところから確認」,「距離の近いところから確認」,「自分の責任範囲から確認」など,トラブル対処の基本に忠実に原因個所を切り分けていくことになる。

 ネットワーク・トラブルに遭遇したとき,ぜひ役立ててほしい。

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■ネットワーク・トラブル体験募集中

今年も,こちらのページでネットワーク・トラブルに関するWebアンケートを実施中。期間は7月10日まで。ぜひ,みなさんの トラブル体験をお聞かせ下さい。