===> 後編へ続く

 ネットワークを利用しているユーザーや管理者なら,ネットワークに関するトラブルは避けて通れない。トラブルが起こったらできるだけ早く解決したいが,ネットワークはさまざまな要素が組み合わさって出来ているため,原因を見つけ出すのが難しい。さらに,トラブルの種類は千差万別。取るべき解決手段も一つではない。何か有効な方策はないだろうか---。

 こうした悩みに応えるべく,日経NETWORKでは毎年夏にネットワーク・トラブルに関するWebアンケート実施している。実際にネットワーク・トラブルに遭遇したユーザーに,アンケートに協力してもらい,トラブル対策のノウハウを見出そうという狙いである。ここでは,2回にわたって2005年夏に実施したアンケートの結果を報告しよう。

■統計的に最適なトラブル対処法を探る

 日経NETWORKでは,2005年7月21日~8月10日に,「ネットワークトラブルに関するアンケート」と題したアンケート調査をWebシステム上で実施した。その結果,トラブルを経験し,かつ,最終的にトラブルを解決したと回答をお寄せいただいた1368人の回答から,トラブルの症状別に有効な対策をまとめようと考えた。

 考え方はこうだ。まず多くの事例を集め,それらから,最初にトラブルに気が付いたときの現象と,最終的に判明したトラブル原因との関係を探れば,トラブルの症状別にどのような原因が多いかという傾向がわかる。同様に,判明したトラブルの原因と,それを突き止めるときに有効だった手段を関連付ければ,原因ごとに有効な解明手段を見つけられる。これらの傾向を分析すれば,トラブルの症状に応じて素早く原因を特定する一種の“経験則”が導き出せるというわけである。

 では,アンケートの結果を順に見ていこう。まずは,ネットワーク・トラブルの全体的な傾向だ。

 図1の(a)は,トラブルの発生に最初に気付いた現象を尋ねた結果をまとめたグラフである。やはり圧倒的に多いのは,Webアクセスができなくなったり,遅くなったりして,トラブル発生に気付いたケースだった。こうしたWebのトラブルが全体の38.8%を占めている。

図1 トラブルに気付いたときの最初の現象とその原因 [画像のクリックで拡大表示]

 Webがトラブル発覚のきっかけになる理由としては,単純に最もよく使われるアプリケーションということが大きいだろう。加えて,WebサーバーにアクセスするとほぼリアルタイムでWebページを開くというWebの特徴のため,トラブルが起こったことにすぐ気付きやすいこともありそうだ。Webに次いで多いのは,メールのトラブルである。さらに,ファイル共有,Windowsネットワーク,プリンタの順番で続く。

 次に,トラブル原因について聞いたアンケートの結果を見てみよう。図1の(b)は,最終的に判明したトラブル原因の内訳である。

 トラブルの原因で最も多かったのは,LANスイッチやリピータ・ハブの故障である。18.0%を占めている。最近ではリピータ・ハブが使われることは少なくなっているので,実質的にはほとんどがLANスイッチの故障であると見てよいだろう。

 以降,ネットワーク機器の熱暴走やフリーズ,ネットワーク機器の設定ミス,パソコンなどの端末の設定ミス,ワームやウイルスなどの感染の順で続く。

■トラブルの症状とその原因の関係

 さて,次はいよいよ本題であるトラブルの現象と原因の関連性を探っていく。

 図2は,最初にトラブルが発覚した現象ごとに,トラブル原因の割合をまとめたグラフだ。例えば(1)は,「Webアクセスができなくなった/Webアクセスが遅くなった」と回答した人だけを抽出し,それらの人がそのトラブルの原因として挙げた項目を集計したものである。

図2 トラブルの現象ごとに原因の傾向は異なる [画像のクリックで拡大表示]

 Webアクセスとメールのトラブルでは,「LANスイッチやリピータ・ハブの故障」が原因のトップだった。このほか,「ネットワーク機器の熱暴走やフリーズ」,「ワームやウイルスなどの感染」といった回答も多いことに気付く。

 ファイル共有やWindowsネットのトラブルでは,「パソコンの設定ミス」が原因のかなりの割合を占める。プリンタのトラブルについては,「ネットワーク機器の設定ミス」の割合が最も多いが,これはプリンタ自身の設定ミスということだろう。

===> 後編へ続く