SEM(検索エンジンマーケティング)のコンサルティングを行っていると、クライアントから「SEO(検索エンジン最適化)とP4P(検索連動型広告)のどちらを導入した方が効果があるのか」という質問を受けることがある。

 どちらもSEMの代表的な手法ではあるのだが、まずそのどちらが有効であるかを考える前に、それぞれの特徴について考えてみて欲しい。

 双方を時間軸で判断すると、P4Pは短期で広告出稿の準備ができるというメリットがあり、スポットのプロモーションなどにも活用できる即時性がある。それに対し、SEOは対策を練り、実行するのに時間がかかり、かつ検索エンジン(クローラー)から認識されて初めて効果が発揮されるので、それなりの時間がかかる。そのため、短期での効果を見込むのならP4Pの方が適していると言わざるを得ない。

 しかし、コスト面で比較するとどうなるか。P4Pは広告という特性上、常にランニングコストが発生するのに対し、SEOは一度上位に表示されれば、検索エンジンのアルゴリズムの変更や競合サイトの施策状況などの外的要因がない限り、ある程度長期的に効果が持続できる。つまり作業負荷は大きく、効果が発揮されるのにも時間がかかるが、長期的な視点ではSEOのほうが有効であるとも考えられる。

 では、長期的な効果を期待した場合、果たしてすべてのキーワードについてSEOを行えるかというと、ほとんどの場合それは無理な話である。SEOは基本的に対象となるページを設定し、サイトの資源を有効に活用して施策を行わないと効果はなかなか期待できない。特に昨今のSEMの認知度向上を背景にして、SEOの競合は常に存在しているという現状もある。

 今後、SEOを行うにあたっては、自社にとってどんなキーワードが有効かという指標を通して対象となるキーワードを選択し、施策を集中して行うという、「選択と集中」の考え方が重要になってくるだろう。

 つまり、これまでの内容を踏まえて、SEOとP4Pについて改めて考えてみると、当然のことながら、SEOとP4Pを絡めた有効な対策を取ることが重要になってくるということが言える。なぜなら、SEOの効果を最大化しようと考えた場合、キーワード選定の具体的な判断は、P4Pの効果を基準にすると非常にわかりやすいからだ。具体的には、自社の目的を達成するための有効なキーワードをP4Pの効果で計り、キーワードの難易度や有効性を考慮して対策のキーワードを考察すべきである。

 その際、効果を数値で想定し、費用対効果を具体的に判断してみることが重要である。もちろんウェブサイト全体の構成や、リンク先ページとユーザーニーズとの兼ね合いを考慮する必要があるから、LPO(ランディングページ最適化)の考え方を採用することも重要だ。

 冒頭でも触れたが、SEMの導入企業の担当者でさえ、SEOやP4P、そしてLPOをそれぞれ個別の施策のように捉える傾向がある。しかし、これらはSEMという検索エンジンを活用したマーケティング活動の効果を最大化するための一部分であると捉え、バランスよく対策を講じることが最善の手法だと考えるべきではないだろうか。


(アウンコンサルティング コンサルティンググループ 中村修巳)






 本コラムは、アウンコンサルティングのサイト 「(((SEM-ch))) 検索エンジンマーケティング情報チャンネル」に連載中の「SEM特撰コラム」を再録したものです。同サイトでは、SEOや検索連動型広告など検索エンジンマーケティング(SEM)に関する詳しい情報を掲載しています。