シェルの設定ファイル

 今まで紹介してきた方法でシェルをカスタマイズしても,シェルの実行を終了するとすべての設定内容は捨てられてしまいます。次回シェルを実行した際に,再度同じカスタマイズを実施する必要があります。

 そこで,シェルの起動時に,カスタマイズを自動的に行う機能が用意されています。「設定ファイル」と呼ばれるテキスト形式のファイルにカスタマイズする内容を記述しておくのです。するとシェルは起動時にこの設定ファイルを読み込み,カスタマイズを自動実行して立ち上がります。

 シェルの設定ファイルは,先頭の文字が「.」であり,隠しファイルになっています。ホーム・ディレクトリに格納しますが,コマンド行オプションなしでlsコマンドを実行しても,この隠しファイル名は一覧表示されません。「-a」オプションを指定すると隠しファイル名も出力されます。

●bashの場合

 bashがログイン・シェルだった場合には,ホーム・ディレクトリ上の設定ファイル「.bash_profile」を読み込みます。このファイルが存在しない場合には,「.bash_login」を読み込み,さらにこのファイルも存在しない場合には,「.profile」を読み込みます。

 bashがログイン・シェルではなかった場合には,ホーム・ディレクトリ上の設定ファイル「.bashrc」を読み込みます。これらのファイルを編集して,シェルをカスタマイズすることが可能です*19

 このように,bashがログイン・シェルとそうでなかった場合で読み込む設定ファイルが異なるので注意が必要です。Fedora Core 3およびVine Linux 3.1のデフォルトでは,.bash_profileと.bashrcが作成されます。

 bashがログイン・シェルだった場合には,「.bashrc」は直接には読み込まれませんが,実は「.bash_profile」内で.bashrcを読み込むように設定されています。また,「.bashrc」ではシステムのデフォルトの設定ファイル「/etc/bashrc」を読み込む設定になっています。

●tcshの場合

 tcshがログイン・シェルだった場合に読み込むファイルは,ホーム・ディレクトリ上の「.login」ファイルをまず読み込みます。次に,「.tcshrc」ファイル(このファイルがない場合には「.cshrc」ファイル)を読み込みます。tcshがログイン・シェルではない場合には,「.tcshrc」ファイル(このファイルがない場合には,「.cshrc」ファイル)が読み込まれます。tcshでも,ログイン・シェルとそうではなかった場合に読み込むファイルに一部違いがありますので,注意しましょう。

 Fedora Core 3では,tcsh用のデフォルトの設定ファイルは作成されません。Vine Linux 3.1では,「.cshrc」ファイルが作成されます。

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