サーバー・ルームにあるスイッチ,ルーター,ファイアウォールたち。ケーブルが多くて何がなにやら。配線の取り回しをしっかりやらないと,こうなります。(写真:エイジ)
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僕の本職は専門学校の講師ですが,それと同時に,勤め先の専門学校のネットワーク管理者をやっています。おかげでネットワーク関連の授業のネタとして,「学校のネットワークの場合はこうなっているよ」なんて話もできるわけです。ただし,緊急度の高いトラブルが起こったときなどは,授業中にもかかわらず,サーバー・ルームに行ってトラブル・シューティングをしなければならないなんてこともあります*1。 実際,一番よく遭遇するトラブルは,ハードウエアの故障だったりします。ネットワークの規模は大きくないですし,複雑な設定をしているわけでもないので,過大なトラフィックや設定ミスでトラブルが発生することはあまりありません。なので,ハードウエアの故障が天敵になるわけです。 ハードウエア故障のときは,機器を交換することになります。交換すること自体はそんなに手間はありませんが,僕がよく手間取るのが新しい機器の設定です。なんというか,ズボラなところが僕にはあるので,機器を再設定するたびに「しまった! 前の設定を控えておけばよかった!」ってことになります。 個人的に「これは必須だ」と思ったのは,IPアドレスの一覧表です。最初は「IPアドレスなんて覚えているし,元々覚えやすい割り当てルールで運用しているし,文書にしておくまでもないや」と思っていたんです。だけどネットワーク・プリンタやら,テスト用のサーバーやらが増えてきて,さらにサブネットも増えてくると,「あれ? このアドレスってこの前使わなかったっけ?」なんてことがよくあるんです。 そこで最近は,設定メモやIPアドレス表をきっちり作って更新しています。ただ,面倒くさいですよね,文書化って。やっとトラブルが解決して,設定が終わって,終了報告をして,さてそこから設定を文書に・・・と,そこまでの気力がなかなか続きません。でも,後で痛い目にあうのは自分だぞ,と自分に言い聞かせて,しっかり更新・管理するようにしています。
トラブル原因がわかった瞬間が好きどちらかといえば地味で,ユーザーから無茶な要求ばっかり言われて,苦情もらって・・・ってなんか愚痴になっちゃいましたけれど,そんなネットワーク管理者の仕事が面白いと思うこともけっこうあります。何と言っても,トラブルの原因がわかった時が最高です。例えばこの間,ファイアウォールを設定していて,どうやってもファイアウォールがネットワークにつながらないことがありました。アドレス変換の設定を確認して,パケット・フィルタのルールを書き直して,おかしいところはどこもないはず。でも,どうしてもネットワークにつながらないんです。けっこうな時間悩んだあげく,ふと見たルーティング・テーブルのサブネット・マスクの値がおかしいことに気がつきました*2。この「あーこれだったのか!」とわかった瞬間,目の前がパーっと開けてくような感覚。これがたまりません。もう嬉しくって,「誰だよこの設定したのー」,「いや僕だけど」なんてノリツッコミまで披露したりして。 トラブル原因がわからないときや,原因がわかっても復旧方法がわからないときは,とても苦しいです。だけど,そういうのを解決したときって,最高にいい気分です。 実際,ものすごく難しい理由でトラブルが発生することはわりと少ないです。ちょっとした設定ミスなどに原因が隠れてることが多いんですよね。ちょっと落ち着いて,休憩でもはさんでもう一度見直すと「なんだこんなことか」なんてことがよくあります。 こういう「ちょっとしたこと」を見つけ出せるのがやっぱり「経験」なのかな,なんて思います。まだまだ僕も精進が足りません。もっともっと経験を積もうっと。 |
筆者紹介
ネットワークの勉強サイトRoads to Nodeの管理人。Flashで作った動画の技術解説が好評。本職は,技術系専門学校の講師。ITproでは「シスコ資格:CCNAへの道」と題したCCNA試験対策の記事を連載中(毎週火曜日更新)。網野衛二というペンネームで執筆活動も始めている。