Googleで検索をしても,なかなか自分の思った通りの結果が出ない……。そんなときは検索語を工夫して最適な結果を導き出すのが検索の「基本」であるが,業務などで決まったジャンルの情報ばかり検索している人にとっては,それをいちいち考えるのも面倒な作業だ。

 本連載の14回目で特定のジャンルに絞った情報を狙い打ちで検索してくれる「Special Google Searches」という便利な機能を紹介したが,これは「アメリカ政府」「Linux」「BSD」「アップル(マッキントッシュ)」「マイクロソフト」という5つの決められたジャンルの情報しか検索することができない。

 「Special Google Searches」のように,自社の業務に関わりの深い情報だけGoogleで検索できるようしたい……。そんなときはGoogleを自分好みに「鍛える」ことで「Special Google Searches」と似たようなことが実現できる。

「パーソナライズド検索」---自分の検索履歴を学習して最適な結果を表示

 Googleにはユーザーの検索履歴から最適な検索結果を学習し,それに基づいた検索結果を表示してくれる「パーソナライズド検索」という機能がある。これはパーソナライズド検索専用のアカウント(Gmailのアカウントを持っている場合はそれを利用できる。また,無料でGoogle Accountサービスのアカウントを取得して利用することが可能だ)を取得して,パーソナライズド検索の検索ページにアクセスして検索することで,毎回検索したキーワードの履歴が残り,その履歴を元に最適な結果を表示してくれる新世代の検索サービスだ。

 パーソナライズド検索で表示された検索結果の中からどのリンクがクリックされたのかという情報もGoogleのサーバーに記録され,「パーソナライズド検索内で検索→検索結果からリンクをクリック」というプロセスを繰り返していくことで,検索時に自分が欲しい情報と関連の深い結果を中心に検索結果を並び替えてくれるようになるのだ。

 例えば,自社でマンガ喫茶やインターネットカフェの経営を考えていたとしよう。その際には,「マンガ喫茶」や「インターネットカフェ」といったキーワードと「経営」というキーワードでAND検索する人が多いだろう。しかし,この方法で目的の情報が見つかることもあるが,通常自分のビジネスとは関係ないインターネットカフェの店舗紹介などの情報もヒットしてしまう。

 そこで,マンガ喫茶やインターネットカフェに関する“経営の情報”だけ見つけたいときは,パーソナライズド検索にログインして,「マンガ喫茶」や「インターネットカフェ」といったキーワードで検索し,検索結果の要約文から推測してから自分が欲しいビジネス関連の情報をクリックしよう。すると,Googleがログインしているユーザーがマンガ喫茶やインターネットカフェを使ったビジネス関連の情報が欲しいのだと学習し,その学習結果に基づいてその人が求めている情報を最適化して,通常の検索結果を並び替えて表示してくれる。

 もちろん,パーソナライズド検索の精度を高めるには,ある程度長い期間利用する必要がある。当初はあまり通常のウェブ検索と結果は変わらないが,検索履歴が蓄積されていくことで自分好みの情報が的確に表示されるようになってくるはずだ。間違えてクリックしたり,ページに飛んで確認したらあまり良い情報がなかったというような場合は,検索履歴の管理画面でクリック履歴を削除すればさらに精度は上がっていく。数カ月くらい試してみて,自分好みのGoogleを作り上げれば情報収集効率が上がること間違いなしだ。

 もちろん,パーソナライズド検索よりも通常のGoogleで調べ物をした方が効率的というケースも多い。自社の業務に関連する情報を調べる場合はパーソナライズド検索,その他の調べ物をしたい場合は通常のGoogle検索というように使い分けるのがいいだろう。

■津田 大介 (つだ だいすけ)

【略歴】
1973年東京都生まれ。週刊誌,インターネット誌,ビジネス誌,音楽誌などを中心に幅広いジャンルで執筆。ここ数年はネットカルチャーやネットワーク時代の音楽の在り方について多くの原稿を寄稿。主な著書は,目的別にGoogleの活用法を解説した『ググる』,ネット通販サイト「Amazon」の活用法を解説した『アマゾる』(両書とも毎日コミュニケーションズ刊)など。

【関連URL】
音楽配信を中心としたデジタルコンテンツ流通,著作権問題などの関連ニュースを集めた情報サイト「音楽配信メモ」(http://xtc.bz/)も運営している。