マンション販売を手がける扶桑レクセルは2005年10月、約20拠点のモデルルームと本社をつなぐ内線システムを刷新した。狙いは、電話の発信規制機能により業務効率を向上させることである。改正商品取引所法によって、電話をかける前に、かけてよい相手がどうかをチェックしなければならなくなった。このチェックをIP-PBXによって自動化した。

 関東の1都3県を中心にマンション販売を手がける扶桑レクセルは2005年10月、約20拠点のモデルルームと本社をつなぐ内線システムを刷新した。狙いは、電話の発信規制機能により業務効率を向上させることである。

勧誘拒否番号ならアナウンスを流す

 マンションを販売するうえで、電話を使った営業活動は不可欠。しかし、2005年5月に施行された改正商品取引所法によって、この電話営業に手間がかかるようになった。改正商品取引所法では、商品を買わないなど、断る意思を表示した顧客に対して、再度勧誘することを禁止している。そのため、営業担当者は、電話をかけようとする相手先が勧誘拒否かどうかを、本社に問い合わせるといった手間が増えることになった。

写真1 沖電気のSIPサーバー「SS9100」
写真1 沖電気のSIPサーバー「SS9100」
耐障害性のためにSS9100は冗長化構成を採っている。
 そこで扶桑レクセルは、IP-PBXが備える発信規制機能によって、拒否者の番号チェックを自動化しようと考えた。電話をかけた際、沖電気工業製IP-PBX「SS9100」(写真1)内蔵の顧客データベースで電話番号をチェックする方法である。勧誘拒否者の番号ならば「勧誘拒否」を表すアナウンスを流して発信を中止、そうでないならばそのまま発信する。また、契約済みの顧客も、営業をかけるのは失礼になるため、アナウンスを流して発信させないことにした。

 これで、営業担当者は、相手が勧誘可能な顧客かどうかを気にすることなく、電話をかけられる。

アナログ回線だけで発信規制を実現

 SS9100は本社に配置し、モデルルームからの電話を一元管理する構成を採った(図1)。発信規制が狙いだったため、IP電話機やIP電話サービスは導入せず、アナログ回線だけで発信できるようにした。モデルルームから電話をかけると、本社のSS9100につながり、そこで番号をチェックし、勧誘可能な顧客なら、そのままINSネット1500経由で発信できるようにした。

図1 SS9100内蔵のデータベースを使い電話番号をチェック
図1 SS9100内蔵のデータベースを使い電話番号をチェック
SS9100内蔵のデータベースに、勧誘を断る意思を表す顧客の電話番号などを登録することで発信規制がかかる。これで、営業担当者が、電話をかけてもよい相手かどうかをチェックする手間が省ける。

 ただ、この方法では、“モデルルームから本社”と“本社から顧客”の二つの呼(回線)を使うことになるため、通話料が倍以上になる。そこでBフレッツが引ける環境にある場合は、NTT東日本の「フレッツ・グループアクセス」経由でSS9100に接続して番号チェックを済ませたうえで、モデルルームから直接発信できるようにした。

 運用を始めてから半年。「たびたびあった営業担当者からのクレームが1件もなくなった」ことから、発信規制が功を奏したと同社は見ている。