Ruby on Rails(Rails)のブレークをきっかけに,「データベースと連動するWebアプリケーションを容易に作成できること」を売り文句にしたWebアプリケーション・フレームワークが次々に登場しています。しかし,こうしたフレームワークを使っても,コードを一切書かずに実用的なWebアプリケーションを作ることは不可能です。例えば,Railsならある程度はRubyのコードを書く必要があります。現実には,プログラミング言語を全く知らない人が使いこなせるものではないのです。

 ところがこの常識を覆すソフトウエアがあります。2005年度上期未踏ソフトウエア創造事業のプロジェクト「ユーザ主導型Webアプリケーション作成ツールの開発」で西岡悠平氏(開発代表者)と染田貴志氏(共同開発者)が開発した「Tuigwaa」です。Webブラウザから編集画面にアクセスしてページを作成したり,テーブルの新規作成画面でデータ項目を追加していくだけで,データベースと連携するWebシステムを開発できます。HTMLやプログラミング言語を全く知らなくても,ちょっとしたアンケート・システムや会員登録システムをWebブラウザからのGUI操作で簡単に作れてしまうのです。いわば,「開発の容易さ」を特徴とするRailsの究極の進化形といってもいいでしょう。西岡氏はTuigwaaの開発が認められ,情報処理推進機構(IPA)から「天才プログラマー/スーパークリエータ」に認定されました。なお,Tuigwaaは現在,Seasarファウンデーションのプロジェクトになっています。

 Tuigwaaを利用するには,JDKとTomcat(またはほかのJ2EEコンテナ)をインストールしておく必要があります。Tuigwaaには,データベース・サーバーとしてHSQLDB,LDAPサーバーとしてApacheDSが標準で含まれていますが,ほかのデータベース・サーバーやLDAPサーバーを使うこともできます。

 編集画面の編集モードは「Wiki編集」と「リッチ編集」のどちらかを選ぶようになっています。アプリケーションを作成したいユーザーがWikiの記法に慣れているならWiki編集,オフィス・ソフト風の操作で編集を行いたい場合はWYSIWYG編集が可能なリッチ編集を選ぶとよいでしょう。編集画面のインタフェースにはAjaxが使われており,画面遷移待ちのイライラをなるべく感じないよう工夫されています。様々なプラグインも用意されています。フォームや一覧テーブルを挿入する基本的なプラグインに加え,カレンダーなどを挿入できるブログ系プラグインやグラフを挿入できる集計関連のプラグインなどがあります。


図1●Tuigwaaの編集画面の例(Wiki編集)
[画像のクリックで拡大表示]

Tuigwaa
ジャンル:Webアプリケーション
作成ツール
開発:西岡悠平氏,染田貴志氏
URL:http://tuigwaa.sandbox.seasar.org/