スタッフサービス・ホールディングスのCIO(最高情報責任者)である佐藤治夫氏
スタッフサービス・ホールディングスのCIO(最高情報責任者)である佐藤治夫氏
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少年サッカーチームのメンバーと、コーチの佐藤氏(中央)
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 人材派遣最大手のスタッフサービス・ホールディングスのCIO(最高情報責任者)である佐藤治夫・取締役(IT戦略担当)は、以前は約20年間にわたり野村総合研究所(NRI)に勤務。あらゆる業種の顧客企業を相手に、情報システム構築にかかわってきた。そのうちの1社がスタッフサービス。「20年ぶりに出会ったエキサイティングな顧客企業。経営のスピード感など、雰囲気がNRI入社直後に担当したセブン-イレブン・ジャパンにそっくりだった」ことから、スタッフサービスに転じた。

 「オー人事、オー人事」のテレビコマーシャルで有名なスタッフサービスは、業界では後発ながら最大手に成長した。その原動力は、顧客からの依頼に応じた派遣人材の人選をわずか2時間で終える「2時間人選」。佐藤氏は、従来は人海戦術でこなしていた作業をIT(情報技術)によって支援する人材マッチングシステムの構築に携わった。

 派遣人材の需要発見に焦点を当てた独特の営業スタイルもスタッフサービスの特徴だが、営業担当者の行動や需要の兆候を管理する営業支援システムも開発した。佐藤氏は、従来からあった業務スタイルを、ITによってより洗練させたわけだ。

 これだけITに精通した佐藤氏だが、「IT用語は嫌い」と話す。IT用語を駆使して説明してくるITベンダーは「徹底的にやっつける」と言う。経営陣と話すときにも、決してIT用語を使わず、他社の事例や、歴史上の出来事などに置き換えて説明する。

 大のサッカー好きで、少年サッカーチームのコーチを務めるという一面もある。コーチ同士で知り合って、かつ仕事上のつながりもある人が10人近くいるといい、サッカーは佐藤氏の人脈の基盤にもなっている。

Profile of CIO

◆経営トップとのコミュニケーションで大事にしていること
・IT用語は嫌い。経営トップも含め、誰に対しても使わないように心がけている
・“たとえ”をうまく使うようにしている。例えば、企業の成長過程とIT投資のタイミングに関する説明するときに、「子供の成長過程で、いつ留学させるのがいいか」といった話に置き換える。当社の経営トップ(岡野保次郎・会長)は歴史が好きなので、歴史上の出来事になぞらえて説明することもある

◆ITベンダーに対し強く要望したいこと、IT業界への不満など
・IT用語は嫌い。IT用語で論争を挑まれると、徹底して対抗したくなる。今では、そういう人はいなくなったが…
・バグや障害は必ず発生するという前提で仕事をしてほしい。人材派遣業界に身を置く当社も、クレームなどが一定確率で発生するという前提で事前に体制を作っている。それと同様のことをしてほしい
・業種別・顧客別といった形で担当者を固定しないでほしい。金融業界に詳しい人が流通業を担当すると、従来にない面白いアイデアが出てくるかもしれない。ソフトウエアという言葉の通り、発想が柔軟な人と一緒に仕事をしたい

◆普段読んでいる新聞・雑誌
・『日本経済新聞』『日経ビジネス』『日経情報ストラテジー』、それから業界誌である『月刊人材ビジネス』(オピニオン)にも目を通す

◆最近読んだお薦めの本
・『もしも月がなかったら』ニール・F・カミンズ著(東京書籍)が面白かった。月がなければ地球の自転のスピードが変わっていたとか、そういう発想が面白い
・『博士の愛した数式』小川洋子著(新潮文庫)も印象に残った

◆仕事に役立つお勧めのインターネットサイト
・インドの求人情報サイトnaukri.com。私は、インドのIT産業に関心を持っているが、このサイトはグローバルの求人動向を定点観測するためによく見ている。インドには、IT分野とバイオ関連を中心に、世界中から求人が集まっている。『Japan』と入力して検索しても、結構な数の求人がある。求人の内容を見れば、日本のITベンダーの動向などが一目瞭然だ

◆情報収集のために参加している勉強会やセミナー、学会など
・日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)の会合には定期的に出席している
・勉強会などよりも、野村総合研究所にいた時の知人らに直接会って情報収集することが多い

◆ストレス解消法
・サッカー。中学・高校時代にサッカーに打ち込んだ。今でも、自分でプレーするのに加えて、10年近く前から、地域の小学生サッカーチームのコーチを務めている(関前サッカークラブ、サイトに佐藤コーチの紹介も)