写真1 表を用紙サイズに収めて印刷する
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写真2 選択した表のみ印刷に切り替える
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写真3 ヘッダとフッタを設定する
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写真4 連結したセルをオートフィルするとCalcではセルがバラバラになってしまう
写真4 連結したセルをオートフィルするとCalcではセルがバラバラになってしまう
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写真5 VBAの属性を設定する
写真5 VBAの属性を設定する
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 Calc編の最後は,Microsoft ExcelからOpenOffice.org Calcに移行する際に,特につまずきやすい点について解説する。

ExcelファイルをCalcに読み込んだ際の縦方向のはみ出し

 Calcでは,「Excel97/2000/XP」のファイルを読み込める。読み込んだ際には,テキストの欠落やレイアウトの変化などはほとんど見られない。
 ただし,次のような現象が生じることがある。
 まず,用紙の1ページに収まるようにレイアウトした表が,縦方向に少しだけはみ出すことがある。これは前回に紹介したの「表を用紙サイズに収める」(写真1)で調整できる。

関数は自動的に変換される

 ExcelとCalcでは,数式の記述に一部違いがある。Excelでは関数の引数の区切りに「,」(コンマ)を使うが,Calcでは「;」(セミコロン)を使う。ただし,関数ウィザードを使う場合には自動的に入力されるので,数式をすべてキーボードから入力するのでない限り,違いを意識することはないだろう。Excelファイルを読み込んだ場合にも自動的に変換される。
 関数の大半には互換性があるものの,一部動作が異なるものもある。例えば,COUNTBLANK関数では,「=""」という値をExcelはカウントするが,Calcはカウントしないといった場合である。また,Calcには,日本語のふりがなを扱うPHONETIC関数がない。
 関数の互換性については,次のWebサイトに整理されているので参考にして欲しい。

「OpenOffice.org ユーザーのためのMicrosoft Office 互換性研究室」

「OpenOffice.org の使い方」

印刷するときの注意点

 Calcを実務で使い始めると,印刷に関するデフォルト(初期設定)の違いで驚かされることがある。
 シートの印刷では,Excelでは選択中のシートが印刷される。Calcではすべてのシートが印刷される。印刷するシートは,印刷ダイアログで選択できるので,印刷したいシートの指定を忘れないようにしよう。
 なお,[ツール]-[オプション]で「OpenOffice.org Calc」-「印刷」を選択すると,「選択した表のみ印刷」に切り替えられる(写真2)。
 また,Calcでは,デフォルトでヘッダとフッタが印刷されるようになっている。不要な場合は,前回の「ヘッダとフッタを設定する」(写真3)で設定を変更しよう。

清書ツールとしては弱い

 Writerと同じく,Calcにもドラッグ&ドロップで罫線を引く機能がない。また,連結したセルをオートフィルでコピーすると,セルはバラバラになってしまう(写真4)。
 このような違いのために,Calcを表の清書ツールとして使用すると,Excelと比較して操作が煩雑に感じることがある。

VBAは未サポート

 最後に,CalcはExcelのVBA(Visual Basic for Applications)をサポートしていない。Calcは,独自マクロのBasicを備えているものの,BasicはVBAとは互換性はない。
 VBAを含んだファイルをCalcで開くと,コメント文として読み込まれる。この状態で,Excel形式でファイルを保存すると,オリジナルと同じ状態で戻される。
 VBAをどのように読み込むか,どのように保存するかは,[ツール]-[オプション]で[読み込みと保存]-[VBA属性]で設定できる(写真5)。