検索連動型広告はオーガニックサーチ(通常のWeb検索)同様、主にはタイトルと説明文から構成される。オーバーチュア「スポンサードサーチ」がタイトル15文字と説明文33文字、グーグル「アドワーズ広告」はタイトル12文字、説明文34文字(説明文1が17文字、説明文2が17文字)となっている。広告を出稿する際は、このルールに則ってタイトル、説明文をつける必要がある。

 広告のタイトル・説明文には、「広告主様の商品またはサービスの訴求点やユーザーにとってのメリットを明確に提示し、競合他社との差別化を図る目的」があると筆者は考えるが、これがなかなか難しいと最近あらためて実感している。

 特に2005年10月3日よりYahoo!JAPANで検索結果の表示形式が変更されたため、今まで検索結果の1ページ目に掲載されていたのが5~6件だったのに対し、それ以降の順位まで1ページ目ライトレール(画面右側)に表示されることとなった。以前であれば、とりあえず上位広告から順番にクリックしてくれたであろうユーザーも、今回の変更により、ワンクリックを選ぶようになるだろうと筆者は予測している。たしかに、ライトレールでの広告掲載のおかげでインプレッション数(露出回数)も増加するので、全体的には底上げ状態となり、比例してクリック数も増加するだろう。しかしながら自分が担当している広告主様の広告のクリック数も増加するかどうかは、やはりユーザーのワンクリックにかかっているのである。

 何が言いたいかというと、よりよいタイトル・説明文を掲載しないと、競合他社の広告に間違いなく埋もれてしまうのである。数多く広告がある中、ユーザーはすべてを見てくれるだろうか? すべてをクリックするだろうか? ユーザーのニーズにマッチしない、または興味を惹かないタイトル・説明文は、放置されてしまうだろう。検索連動型広告はクリックされ、広告主様のサイトへ誘導することから全てが始まるのに!

 これを踏まえ、では「広告主様の商品またはサービスの訴求点やユーザーにとってのメリットを明確に提示し、競合他社との差別化を図るタイトルと説明文」について再考していきたい。

 まず、「訴求点」とは、商品、サービスの優れた特長、いわばチャームポイントである。これをわかりやすい言葉で一目で伝えられるようにする。これがユーザーのニーズにマッチすればクリックされる確率はあがるだろう。この際、出稿キーワードを軸に、どのユーザー層に向けて作成するのかを念頭に置き、多少訴求点の文言を変える必要があるかもしれない。

 例えば、ある資格の専門学校の出稿キーワードで、「○○資格 短期取得」と「○○資格 取得」では訴求内容が若干異なるだろう。前者はスピードマスター的な訴求点となり、後者は、前者の訴求点でも可能だが、そのほかにも考えられる。

 次に「ユーザーにとってのメリット」であるが、これは前述の訴求点と重複するところもあるだろう。商品やサービスの訴求点=ユーザーのメリット、の場合も多い。そうでない場合として、例えば「キャンペーン中」などの文言をよく見かけることはないだろうか。筆者はタイトル、説明文の動向調査をしているときによく出くわすのだが、これが一体、ユーザーのメリットになっているのだろうかと思う。どこもかしこも「キャンペーン中」という文言を使っているので、それ自体の訴求力が薄くなってしまっているような気がする。本当にお得なキャンペーンもあれば、さほどお得でもないキャンペーンまであるが、タイトル、説明文に入れるのなら、お得なキャンペーンのみにして、具体的に何がお得か=何がユーザーのメリットになり得るのか、を明記したほうがいいだろう。あとはサイトの中でキャンペーン告知をすればいいのである。

 最後に、「競合他社との差別化」であるが、これは言うまでもなく、まず競合の出稿広告を把握するのが第一である。以前タイトル、説明文の動向調査を行っていた際に見つけた成人病クリニックの広告を例に挙げてみよう。

 どのクリニックも説明文には、所在地を入れ、△△病の専門クリニックだと謳っていた。その中でひとつだけ異なるものがあった。上記の宣伝文句に加え、「簡易検査」もできる旨記載されていたのである。並んでいる広告を見比べると、明らかに「簡易検査」できるもののほうが目立つ。ユーザー側からしても、体に問題があるから検索しているのだろうし、「簡易検査」という言葉の挿入は吉だったのではないか。おもしろいことに、「簡易検査」を説明文に挿入していない他のクリニックもサイトを見てみると、実際は「簡易検査」を実施しているのである。ここでの違い(差別化)は、他も同様にしているサービスをあえて説明文に入れるか入れないか、だけである。このような例は、めずらしいことではない。

 先にも述べたが、まずは競合他社の広告を吟味し、差別化を図れそうなポイントを発見すること、それは決してオリジナルなことでなくてもいい。いかにタイトルや説明文に挿入するかがポイントなだけである。

 タイトルや説明文をより向上させるには、いくつかのパターンを用意し、それぞれ期間に分けて出稿しクリック率を比較したり、アドワーズ広告なら数個のタイトル・説明文を同時に配信できるので、どのタイトル・説明文が効果があったかを比較検討するのがよいだろう。今後の作成に少しでも役立てていただきたいと思う。すべてはユーザーのワンクリックのために。


(アウンコンサルティング コンサルティンググループ 山田夏代)






 本コラムは、アウンコンサルティングのサイト 「(((SEM-ch))) 検索エンジンマーケティング情報チャンネル」に連載中の「SEM特撰コラム」を再録したものです。同サイトでは、SEOや検索連動型広告など検索エンジンマーケティング(SEM)に関する詳しい情報を掲載しています。