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連載 Web 2.0時代のソフトウエア開発手法

第12回 バーンダウン・チャートで「終わるかどうか」を見える化する

2006/06/13 ITpro

 前回,タスクかんばんが,現在の状況を見える化するものであり,先を見通すような視点は持ち合せていないことを説明した。この「先を見通す視点」で「進ちょく状況の見える化」を実現するのがバーンダウン・チャートと呼ばれるチャートである。バーンダウン(burn down:燃え落ちる,全焼する)チャートは,一般的なチャートにありがちな右上がりではなく,右下りになっている。チャートを作成する際には,縦軸に残りの作業量を,横軸に時間を割り当てて日々の残り作業量をプロットしていく。右下,つまり残り作業量がゼロ(=全焼)になれば,すべての作業が完了するというわけだ。


図1 バーンダウン・チャートの例
右下がりの折れ線が日々の残り作業量を表している。

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 バーンダウン・チャートは,元々リリースまでのバック・ログ(プロジェクトとして実施する必要があるすべての作業)の残量を視覚化するチャートだったが,現在はイテレーション単位でのタスクの残作業量(デイリー・バーンダウン・チャート)の見える化にも使われている。今回はデイリー・バーンダウン・チャートについて解説する。

 バーンダウン・チャートとタスクかんばんを比べると,残りの作業量が見える点はどちらも同じである。ただし,バーンダウン・チャートは時間軸を持っているために,傾向から今後の見通しを立てられる。また,タスクかんばんはタスクという単位で残りの量が見えるのに対し,バーンダウン・チャートはもっと簡潔に「残り時間」,つまりあとどれだけ時間をかければ終わるのかが見える点もメリットの一つだ。

 バーンダウン・チャートは,作業の完了したタスクの実績時間や予実差などは一切関知しない。言い換えると「過去は一切見ない」ことになる。バーンダウン・チャートで表現したい内容は「期日までに終わるかどうか」である。これを知るためには,「タスクにどれだけ時間がかったか」は必要ないという割り切った思想がその背景にある。必要なのは,「作業が終ったら残時間を0に,仕掛り中の作業は残りどれくらいかかりそうかを記録し,その合計を日々プロットする」---これだけである。このように残時間だけにフォーカスする進ちょく管理を「残時間進ちょく」と呼ぶことにする。

 ここで,残時間進ちょくと,パーセントで進ちょくを表現する典型的な管理スタイル(以下パーセント進ちょくと呼ぶ)とを比べてみよう。図2と図3を見比べてほしい。[1]~[3]は,パーセント進ちょくも残時間進ちょくも,進ちょくとしては間違ってはいない。


図2 パーセント進ちょくの例
途中で作業が追加されたときの「75%のままです」は奇妙に感じる。

[画像のクリックで拡大表示]


図3 残時間進ちょくの例
途中で作業が追加された場合でも特におかしいところはない。

[画像のクリックで拡大表示]

 しかし[4]で両者は大きく変わってくる。パーセントの「75%のままです」は明らかにおかしい。後から増えたぶんの作業まで含めた全作業量を100%として計算し直すと,進ちょくは60%になる。だが,既に完了した作業の量が変わらないのに「進ちょくが60%に減りました」というのもどこか変である。第一,これでは作業が進んでいるのかどうかすら分からず,進ちょくを表す指標としては使えない。工程が細かい点まで明確でなく,後から見えない作業が発生する可能性があるような状況で,進ちょくをパーセントで表現するのはそもそも無理があるのだ。一方,残時間進ちょくの方は何らおかしいことはない。

 理屈のうえでは,パーセント進ちょくが有効に機能するように,事前に詳細まで作業項目を洗い出して管理するという選択肢もないわけではない。しかし要求がめまぐるしく変わり得るような状況において,事前に進捗をパーセントで管理できるくらいの細かい粒度で作業項目を洗い出すことは難しい。

 一方,残時間進ちょくは,実際の現場で起こり得る変更や不確定要素をある程度許容したうえで,残り時間という切り口でプロジェクトの進行をモニタリングして先の見通しを見える化する。ゴールまで乗り切るための実践的な考え方であり,ツールであると言えると思う。

 以上,バーンダウン・チャートとその背景にある残時間進ちょくの考え方について解説した。次回は,実際にバーンダウン・チャートを使用して開発を進めていく方法を解説する予定だ。

懸田 剛

チェンジビジョンでプロジェクトの見える化ツール「TRICHORD(トライコード)」の開発を担当。デジタルなハックと,アナログなハックの両方を好む。新しいやり方やツールを考えるのが好きである。個人サイトは http://log.giantech.jp/

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