若手部員 宇田くん
  1台のサーバー・マシンに二つのWebサーバー・ソフトをインストールして運用することはできないのかな。メールとWebというように種類が異なればできるよね。  

若手部員 貴子さん
  サーバー・ソフトを二つインストールすることは可能かもしれないけれど,実際に動かすと二つのソフトが“けんか”してしまうんじゃないかしら。とくにかく,試してみましょう。  


貴子:どうしたの。頭を抱えて。

宇田:二つのWebサーバー・ソフトを1台のコンピュータに入れたらどうなるか,考えていたんだよ。

貴子:Webサーバー・ソフトが通信を待ち受けるポート番号は80番だと決まっているでしょ。1台のコンピュータに,80番ポートで待ち受けるソフトが二つあったらダメじゃない。

宇田:理屈ではそうだけれど,やってみたら通信できるかも知れないよ。

貴子:試してみるしかないわね。

宇田:そうだよ。実験で確かめてみようよ。

 1台のサーバー・マシン上で,Webサーバー,メール・サーバー,FTPサーバーなど,さまざまなサーバー・ソフトを動かすことはできる。通信相手の機器を特定するためにはIPアドレスを使い,相手のコンピュータ上で動いているサーバー・ソフトを特定するためにはポート番号を使えば済むからだ。例えば,Webサーバー・ソフトは80番,送信メール・サーバーは25番,FTPサーバーは21番といった具合に利用するポート番号が決まっている。

 しかし,ここまでの話は,1台のコンピュータで種類の異なるサーバー・ソフトを動かすケースだ。Webサーバー・ソフトを2個動かすというように,同種のサーバー・ソフトを二つインストールして動かすことはできるのだろうか(図1)。

図1 1台のコンピュータに二つの異なるWebサーバー・ソフトをインストールして利用することはできるか

二つのWebサーバー・ソフトをインストールして,それぞれが別々のWebページを公開することはできるのだろうか。

二つめのソフトがエラーを表示

宇田:ここにWindowsXP Professionalマシンがあるから,これを使って実験してみよう。BlackJumboブラックジャンボDogドッグというフリーのWebサーバー・ソフトも見つけたよ。

貴子:まずは,そのフリーソフトをインストールして,そのあとでWindowsXP Professionalに付属しているIIS(Internet Information Services)を有効にすればいいのね(図2)。

宇田:そうだよ。試してみよう。

図2 1台のコンピュータにWebサーバー・ソフトを二つインストールしようとしたらエラーが出た

1個目のWebサーバー・ソフトAとしてフリーソフトのBlackJumboDog Version 3.7.3をWindowsXPマシンにインストールしたあとで,WindowsXP Professionalに標準で付属しているIISを有効にしようとしたらエラーが表示された。

 最初の実験は,WindowsXP Professionalマシンをサーバーにして,そこに二つのWebサーバー・ソフトをインストールする。フリーソフトのBlackJumboDogをWebサーバー・ソフトA,Windows標準のIISをWebサーバー・ソフトBとしたとき,AをインストールしたあとでBを有効にすると図2のようなエラーが出た。やはり,二つのWebサーバー・ソフトを単にインストールしただけだと,両方をうまく動かすことはできないようだ。

貴子:やっぱり,ダメじゃない。エラーが表示されたわよ。

宇田:そうだね。何かいい手はないかな。ちょっと先輩に聞いてくるよ。

80番ポート以外も使える

宇田:やっぱり,できそうだよ。ポート番号を変えればいいんだ。

貴子:どうするの? Webサーバー・ソフトは80番を使うと決まっているはずよ。

宇田:そうでもないんだ。80番以外も使えるんだよ。

貴子:そうなの。知らなかったわ。

宇田:じゃあ,早速試してみようよ。IIS(サーバー・ソフトB)はプロパティの設定で,待ち受けポート番号を変更できるみたいだ。80番の代わりに1080番にしてみよう。

貴子:どう? うまく動きそう?

宇田:ほら,きちんと設定できたよ(図3)。IISを有効にしても,エラーが表示されないから,大丈夫そうだ。

図3 Webサーバー・ソフト(IIS)側の設定を調べたら,待ち受けポート番号を指定する項目があった

IISの管理ツールからWebサイトのプロパティ画面を開くと,待ち受けポート番号を指定する項目が見つかった。

 WindowsXPのコントロール・パネルからIISの管理ツールを開き,Webサイトのプロパティ設定ウインドウを表示すると,待ち受けポート番号を指定する項目がある(図3参照)。2人は,ここで待ち受けポート番号を80番から1080番に変更してみた。すると,エラーは表示されずに,二つのソフトが稼働し始めたようである。

 実はIISだけでなく,多くのWebサーバー・ソフトは,待ち受けポート番号をデフォルトの80番から変更できるようになっている。こうすれば,1台のコンピュータに複数のWebサーバー・ソフトをインストールして運用することができそうだ。