よく耳にする言葉に「串を通す」や「串を刺す」と言った用語があります。実は「串」とはプロキシ・サーバーのことを指します。それでは,プロキシ・サーバーは,どんな役割をするサーバーなのでしょうか。

「代理」でアクセスをする

 プロキシ(proxy)とは「代理」という意味の英単語です。プロキシ・サーバーは,Webサーバーへのアクセスを,Webブラウザの代わりに代行するサーバーです。利用するときは,ブラウザにプロキシ・サーバーのアドレスを登録しておきます。

 すると,Webブラウザはアクセス要求をプロキシ・サーバーへ送るようになります。これを受信したプロキシ・サーバーは内容を解析し,アクセス要求を作り直して目的のWebサーバーにアクセスします。また,WebサーバーからWebページのデータを取得すると,Webブラウザに返します。Webブラウザはプロキシ・サーバーを通してWebサーバーにアクセスするので,「串を通す」などと言われるのです。

三つの役割がある

 社内に設置されるプロキシ・サーバーには,主に三つの役割があります。それは,外部からパソコンを隠す,Webページのキャッシング,およびWebページのフィルタリングです。もう少し詳しく説明しましょう。

 パソコンを隠すとは,社内のパソコンがインターネットに直接さらされるのを防ぐことです。Webサーバーにアクセスすると,ユーザーのIPアドレスなどの情報がアクセス先のWebサーバーに残ります。社内パソコンの情報を知られると,それだけインターネットを介して攻撃を受ける危険が高くなります。プロキシ・サーバーを通してアクセスすれば,インターネット側からはプロキシ・サーバーと通信しているように見えるので,社内のパソコンを隠すことができます。

 次のキャッシングとは,過去にアクセスしたWebページのデータをプロキシ・サーバーが保存しておき,同じWebページへのアクセス要求があれば,Webサーバーへアクセスしないで保存していたデータを返す機能です。

 プロキシ・サーバーは社内ネットの利用者がアクセスしたWebページをすべてキャッシュします。つまり,自分が過去にアクセスしたことがないWebページでも,キャッシュに保存されていれば,素早く表示されます。また,キャッシュに保存されているデータを返すときはWebサーバーにアクセスしませんから,回線のトラフィック量を抑えることにもなります。

 最後にフィルタリングとは,社内ユーザーがアクセスできるWebサーバーを限定する機能です。禁止するWebサイトのURLを登録して,Webブラウザのリクエストを解析する過程でリクエストを破棄します。

 駆け足で三つの役割を紹介しましたが,最近では通信速度が向上し,キャッシュしなくても素早くWebページを表示できるようになりました。そのため,プロキシ・サーバーは社内のパソコンを隠すことや閲覧できるWebページをフィルタリングする目的に使われることが多いようです。