図2 ホスティング・サービスを使えば通常は自社内に設置するインターネット向けのサーバーを外部にアウトソーシングできる<BR>サーバー環境の構築だけでなく,日常の運用に関しても負荷が大幅に軽減できる。
図2 ホスティング・サービスを使えば通常は自社内に設置するインターネット向けのサーバーを外部にアウトソーシングできる<BR>サーバー環境の構築だけでなく,日常の運用に関しても負荷が大幅に軽減できる。
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表1 代表的なホスティング・サービスの形態
表1 代表的なホスティング・サービスの形態
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 ホスティング・サービスとは,通信事業者が所有しているサーバーを,ユーザーが借りるサービスです。ユーザーはサーバーの一部もしくは丸ごと1台を有料で借り受けて自分のサーバーとして運用します(図2[拡大表示])。

 これにより,企業や個人が専用の環境を自前で構築しなくても,独自にWebサイトの開設やメールの利用ができるようになります。サーバーをレンタルするという意味でレンタル・サーバー・サービスと呼んでいる業者もあります。

負荷の軽減が最大のメリット

 ホスティング・サービスの一番のメリットは,構築から運用までにかかる負荷が軽減できることです。初期の環境構築の手間だけでなく,日々のサーバー運用管理も専門の業者に依頼できます。また,サーバーをユーザー側に設置する必要がないため,設置スペースを考慮する必要もありません。

 例えば,自社内で独自ドメイン名の電子メールやWebページを開設する場合は,ユーザー自身でWebサーバーやメール・サーバーを構築するためのソフトウエアとハードウエアを購入して,インストールおよび構築の作業をする必要があります。

 こういった構築作業には専門知識が必要で,スキルが乏しいユーザーが作業するのはなかなか難しいでしょう。プロセッサやディスク容量といったサーバーのハードウエア仕様を決定するだけでも意外に面倒です。

 さらに大変なのが日々の運用です。万が一障害が発生した場合に備えて,重要なデータや設定ファイルを復旧できるようにするバックアップ/リストア環境を用意したり,外部からの攻撃を防ぐためのセキュリティ対策を考えたりする必要があります。

専用と共用の2タイプがある

 ホスティング・サービスには,大容量サーバーを分割してその一部をレンタルする「共用サーバー方式」と,サーバー1台丸ごとレンタルする「専用サーバー方式」の2種類があります(表1[拡大表示])。

 共用サーバー・サービスは,ホスティング会社が運用しているサーバーのディスクを複数の領域に分割し,その一部をレンタルすることになります。ほかの領域は別のユーザーが利用するため,1台のサーバーを複数のユーザーで共有する形となり,場合によっては機能面で制約を受けることがあります。条件によっては利用できない機能もあります。ユーザーに合わせた独自ドメイン名やメール・アドレスなどは通常問題なく利用できますが,それ以外に関しては利用する機能によって価格が変動します。

 専用サーバー・サービスは,ホスティング会社が用意したサーバーを丸ごとレンタルします。1台のサーバーをそのまま専有して使えるため,ユーザーの自由度が高いのが特徴です。例えば,ソフトウエアのインストールやデータベースの構築,バックアップの詳細設定などがユーザーの都合に合わせた形で利用できます。


●筆者:福士 祐樹(ふくし ゆうき)
ソリトンシステムズ パートナー営業本部
テクニカル・マーケティング兼コンサルタント