企業のWebマーケティング担当者やWebマスターは、どの程度アクセス解析を導入しているだろうか。そして、アクセス解析を通じてどれほど深い分析を行っているだろうか。

 アクセス解析をするからには、解析の目的を明確にし、その目的に即したデータを収集しなければならない。例えばPV(ページビュー)数。PV数とはページが表示された回数である。PV数の多いページが分かれば、来訪者の訪問理由をある程度特定することができるだろう。あるいは検索ワード。検索に利用されたキーワードから、来訪者の興味や欲求がどのようなものなのか推測が可能だ。検索エンジンの種類からもユーザー属性をうかがうことができる。

 あるいはサイトへ来訪する直前に見ていたリンク元なども解析できる。これにより、どういった興味の流れでサイトへ訪れたかが分かる。このように解析の内容から知りえる情報はさまざまなので、目的を明確にしなければならないのだ。

 広告の効果測定にもアクセス解析は利用できる。検索連動型広告やバナー広告、メールマガジンなど多々ある広告から、売上にもっとも貢献している広告は何なのか? 複数のキャンペーンを開催した場合、それぞれのキャンペーン毎のコンバージョン(商品購入や資料請求など、広告主の利益につながるなんらかのアクション)を知ることによって、費用対効果を高める手段も確保できるだろう。

 経路解析によって、コンバージョンの高い経路パターンやよく見られるコンテンツ、あるいは離脱しやすいページなども知ることができる。例えばランディングページから詳細ページに遷移するような構成のキャンペーンページを作成したとしよう。ランディングページからの離脱率が多い場合は、来訪者が期待していた内容ではないコンテンツであったことが考えられる。その際にはランディングページの構成を見直し、効果測定を行う。あるいは広告原稿を変更し、効果を測定する。このように効果検証→改善の繰り返しを行うのである。

 媒体別に来訪者の興味の深さを測ってみてもよい。そのキャンペーンにあった媒体を発見したら、その媒体にピンポイントで出稿するといったこともできるだろう。

 アクセス解析とはまさに宝探しである。Webサイトの中でどのページを中心に見られているか、どの検索エンジンでどのキーワードでそのサイトに訪問したか、あるいは多く来訪する曜日や時間、平均滞在時間など。さらにはWebサイトをどのような経路で巡回したか、流入元や離脱ページ等、様々な情報を取得することができる。

 アクセス解析はPDCAサイクルと同様に、仮説、実行、検証、改善を繰り返し、試行錯誤していくことである。アクセス解析なくしてWebマーケティングは成り立たないだろう。ユーザー行動を把握することがPDCAの原点である。ユーザーがどのようなキーワードでどのような行動を起こしているかの検証改善を繰り返すことで、Webマーケティングを成功に導くことができる。

 ちなみに以下は、有料無料は問わず何らかのツールを使用してアクセス解析を行っている企業の割合である。

  詳しく分析している:45.3%

  基本的なデータを見ている:34.7%

  その他:2.4%

  特に何もしていない:17.1%

  分からない:0.6%

  (出典:株式会社インプレス「インターネット白書2005」)

 アクセス解析を実施している企業の割合は80%にも及ぶ。「特に何もしていない」企業は今すぐにでも始めるべきであろう。


(アウンコンサルティング コンサルティンググループ 野呂智久)




 本コラムは、アウンコンサルティングのサイト 「(((SEM-ch))) 検索エンジンマーケティング情報チャンネル」に連載中の「SEM特撰コラム」を再録したものです。同サイトでは、SEOや検索連動型広告など検索エンジンマーケティング(SEM)に関する詳しい情報を掲載しています。