キリンビールでCIOを務める佐藤一博 常務
キリンビールでCIOを務める佐藤一博 常務
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 キリンビールは2006年4月、6年ぶりに第1四半期のビールシェアでトップのアサヒビールを逆転した。佐藤一博常務はアサヒにトップを譲った2001年を振り返り、「大変なショックだった」と正直に打ち明ける。

 再逆転するには商品力の強化が不可欠だった。新商品を作るのに、どうやって顧客のニーズをつかむのか。佐藤常務は原点に立ち戻ったと語る。ここ数年は、顧客ニーズの吸い上げにIT投資を費やしてきた。

 キリンは商品を販売する営業担当者がもっと顧客に近いところで活動量を上げていくことが一番重要だとも考えた。そこで、佐藤常務は彼らが動きやすくなるシステムが必要なら、どんどん開発していかなくてはいけないと判断。

 こうして2003年7月に稼働した営業支援システム「キリノロジー」は、今も使い勝手の向上など改良のために毎年IT投資を続けている。キリノロジーが2005年4月に発売した第3のビール「のどごし<生>」の大ヒットを陰で支えたのは事実だ。

Profile of CIO

◆経営トップとのコミュニケーションで大事にしていること
・信頼されることが第一
・ITに関して言えば、自分自身も基礎知識が不足していると感じているので、他分野での経験を含めて、経営全体への影響を理解してもらうように努めている
・IT投資のプラスの面だけでではなく、マイナスの面も伝える。例えば標準化の推進では、当面利用者の負荷が増えるケースも考えられる。プラスとマイナスを同時に伝えて、ITの過大評価を避ける
・定量と定性の両面をバランスよくカバーする

◆ITベンダーへの要望
・新技術や商品の導入だけに力を入れず、我々顧客にとって本当に適したものを提案してほしい
・利用者サイドのIT能力不足を補うくらいの深い業務への洞察力と技術レベル
・協力会社の選定や実行体制作り、維持管理をしっかりしてほしい
・我々は良いものは長く使いたい。サポート切れや頻繁なバージョンアップは困る

◆普段読む新聞・雑誌
・日本経済新聞
・日経ビジネス
・週刊東洋経済

◆最近読んだお薦めの本
・『国家の品格』(藤原正彦著、新潮社)
・『ローマ人の物語』シリーズ(塩野七生著、新潮社)
会社も国家も、歴史的な知恵を見失なわないようにしたいものです

◆仕事に役立つインターネットサイト
YAHOO!
NIKKEI NET

◆情報収集のために参加している勉強会
・日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)のセミナー
・ほかに、経済、財務、IT関連の各種セミナーに参加

◆ストレス解消法
・特に何もしない時間を作るのが第一。半日程度、ボーッと過ごしたい
・運動は、通勤時の早歩きや、お付き合いのゴルフ。ただし、それよりも、買い物や食事をかねて、妻と街を歩くほうがよい
・ジャンルを問わず、音楽鑑賞と読書