JavaOneは,5月16日(火)~19日(金)の4日間。今回JavaOneに参加したのは,ぼくが代表を務めるチェンジビジョンの製品をパビリオン(展示場)に展示することが目的です。そのため,準備期間を含めて前々日の日曜に現地に入りました。周辺の街灯にはJavaOneのノボリが飾られ,雰囲気を盛り上げています。


写真1 会場周辺の街灯に飾られたJavaOneのノボリ
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 ぼくたちは,会場から1ブロック離れたホテルにチェックイン。まずは,作戦会議です。ホテルの部屋へ集まって,4日間の目的とスケジュールを全員でチェック! 壁にポスターとポストイットで予定を張って,得意の「見える化」です。


写真2 ホテルの部屋の壁にスケジュールを貼って作業を見える化する
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 JavaOne会場に準備に入ります。正面には,<welcome/>タグがありました。中に入ると,<registeration/>タグが見えます。こんな演出が,エンジニア心をくすぐります。くすぐられたぼくも,一応タグのポーズのつもりです。


写真3 会場正面の<welcome/>タグ


写真4 会場に入ったところにある<registration/>タグ

 ホールの階へ降りていくと,そこには大画面からJames Goslingのトークが・・・。そのスクリーンの前には,形が変形するやわらかいクッションの椅子がたくさん置かれています。ここで,半分寝っころがってこのビデオを鑑賞します。


写真5 クッションに寝そべってJames Goslingのトークを観る

 内容は,インターネットの爆発とJavaが,いかに相乗効果を生み出したか,という歴史でした。Scott McNealyが,Jamesに「好きな場所で,好きなやつを集めて,好きなことやっていいよ」と言ったら,「コンシューマ・エレクトロニクスの分野をやりたいんだ」と持ちかけた話もありました。Javaの初期,Green Projectの最初のころの話です。Java 10周年記念のときのビデオかな?

コミュニティ重要,未来重要,互換性重要

 初日のジェネラル・セッションでは,サルサ系のバンド演奏が雰囲気を盛り上げます。


写真6 初日のジェネラル・セッションではサルサ系のバンド演奏が・・・
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 このセッションの中身については,少し詳しく書こうと思います。John Gageが,「Javaの11年」を強調しながら,「このイベントではスケジュール・ビルダを使って,各自スケジュールを!」と呼びかけました。参加者には,ICチップの入ったIDカードが,ストラップと一緒に渡されます。会場には,無数のSunRay端末が用意されていて,このカードを使って自分の環境をモバイルにできます。

 Johnはさらに,「知らない人とも話しをしよう」と呼びかけます。ランチ会場には,「NetBeans」「Java ME」などのキーワードが書かれた看板が各テーブルに立っていて,そこで共通の話題について話をしよう,と言う趣向です。


写真7 ジェネラル・セッションで聴衆に語りかけるJohn Gage氏
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 ブラジルが熱い。なぜか,ブラジルの話になると,会場のいたるところから歓声がわき起こります。ブラジル人は結束が強く,ブラジルの国旗を着ている人も(SouJavaのBruno Souza)。

 いよいよ,Jonathan Schwartzの登場です。彼が繰り返し言っていたのは,「JCP(Java Community Process)に参加!」です。Javaは以前にもましてコミュニティ色を強く出しています。ここでのメッセージは,「コミュニティ重要(Community Matters)」「未来重要(Future Matters)」「互換性重要(Compatibility Matters)」でした。

 Jonathanは,様々なキー・パーソンを登壇させて話をふります。Sunの上級副社長であるRich Greenは,やはりJCPへ参加することの重要性を繰り返します。その中で,Javaのオープン・ソース化について,「It's not a question of whether, but a question of how」というやり取りがあり,このフレーズを,Jonathanが繰り返します。ちなみに,一部のブログ,ニュースで大きくとり上げられているように,SunがJavaのフルオープン・ソース化という報道もありましたが,はっきりそう言ったかどうかは不明です。

 そして,再度,繰り返されるメッセージ---「オープン性重要(Openness Matters)」「それは参加だ(It's about Participation)」。

 その後,Jeff JacksonがJava EE5について,EoD(Ease of Development),Web 2.0,.NETとの相互運用,Simplified SOA,NetBeans,GlassFishについて話をしました。Ajaxを使ったGoogle Mapのデモもありました。

 さらに,LinuxのMark ShuttleworthやJBossのMarc Fleury(Sunと仲直り?)も登場。Javaがコミュニティから成り立っている,ということを強調しました。

展示場のブースは大盛況

 ジェネラル・セッションが終わると,パビリオンのオープンです。チェンジビジョンも出展しています。ほかの日本のブース(ジャストシステム,リコー)は外国人スタッフが多いなか,チェンジビジョンは全員日本人です。


写真8 オープン前のチェンジビジョンのブース
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 ちなみに,上の写真はオープン前に撮ったもの。オープン後は思いのほか人が入り,ぼくもずっとデモのしっぱなしの状態でふらふらに疲れました。日本のショーと違って,すぐにみんな話しかけてきますし,質問もたくさんします。

 JUDEが持つ,マインドマップとUMLの連携機能は,みんな「へぇ~,クールだ」という反応でうれしかったです。外国人で,「JUDE使っているよ」と言ってくれた方も3人いらっしゃいました。喜んでTシャツをあげてしまいました。

 TRICHORDについても,コンセプトに感心してくださる方が多数いらっしゃいました。artima developerというWebマガジンに,Podcast用の録音を頼まれたときは,「TRICHORD is an agile team dashboard. It's a project management tool, not for managers, but for developers. Developers should push our status to the manager・・・」と説明しました。「プロジェクト管理が形だけのものとなり,プロジェクトの問題点が現場に埋もれてしまうことを危惧している。TRICHORDが開発者のための“プロジェクト健康ツール”になればいいと思う」---こうしたメッセージが伝わることを望みます。

平鍋健児

株式会社チェンジビジョン代表。オブジェクト指向分析設計とプロジェクトの「見える化」を実践・推進する舞踏派コンサルタント。UMLとマインドマップを融合させたモデリング・ツールJUDEを開発中。